旅用カメラバッグは「フォトクロス 13」に落ち着いた

MindShift Gear PhotoCross 13 レビュー。

旅用のカメラバッグとして、リュック・ホルスター・ショルダー、様々なタイプを使用してきた。しかしリュックは移動には便利だが機材の出し入れが面倒、ホルスターは速写性に優れるが街歩きには大仰、ショルダーは街では使いやすいが山では足手まとい、どれも一長一短あり完全には満足できなかった。

状況に応じて使い分ければ済む話なのだが、気まぐれ旅ゆえに、行き先が街なのか山なのかすら事前に分からず、移動は公共交通機関なので全てを持っていくこともできない。そこでどんな状況でも無難にこなしてくれそうな、スリングバッグを使ってみることにした。

スリングバッグと言っても数多くの製品があり悩ましいが、カメラ2台に1日分の荷物が収まる収納力、少々の悪天候にも使える耐候性、A4の収まるポケット、傘やボトルなどを装着できるホルダー、条件を当てはめていくと大半は消えてしまった。そして残ったのがアウトドア用のカメラバッグで知られるマインドシフトギアの「フォトクロス 13」である。

それから半年ほどに渡り日帰りから長期の旅、さらに軽登山にも使用した結果、随分と使いやすかったので、その辺りを紹介していこうと思う。

マインドシフトギア フォトクロス 13の外観。
フォトクロス13(カーボングレー)

フォトクロスについて

フォトクロスはマインドシフトギアから発売されているスリングバッグで、撥水性や防水性の高い生地や止水ジッパーが使用され、ウエストベルトでしっかり背中に固定できるなど、アウトドアに適した作りになっている。

基本的なデザインや構造は同じながら、容量の異なる2種類が発売されている。7.5Lのタイプが「フォトクロス 10」で、ひと回りほど大きくした11Lのタイプが「フォトクロス 13」となっている。カラーはそれぞれ「オレンジエンバー」と「カーボングレー」の2色がある。

私は7.5Lでは容量不足なので11Lの方を選択し、カラーはどちらも使いやすそうで迷ったが、より汎用性の高そうな地味目のカーボングレーにした。

フォトクロス 10フォトクロス 13
外寸H40.5 W28 D16cmH45 W32 D18cm
内寸H31.8 W18 D12.2 cmH36 W23 D14cm
内ポケットH27.9 W20.8 D1.5cmH33 W23 D2.5cm
容量7.5L11L
重量1.0kg(全オプション装着時)1.1kg(全オプション装着時)
価格14,000円(税抜)16,000円(税抜)

使いやすいメイン気室

収納部はカメラ類を入れる大きな気室と、小物類を入れる前面ポケットに別れている。まずはメイン収納部たる気室だが、ここはジッパーを開けると大きく開くので、出し入れも内容確認もしやすい。本体の大部分を占めているだけに容量も大きい。使いやすさと容量の大きさから頻繁に使用するものは、ほぼ全てここに入れるのが常になっている。

入れる物としては下記のようなもので、状況に応じてあれこれ追加するという使い方をしている。日帰り旅ならカメラバッグだけを持っていくし、長期の旅なら日中使わないものは別途用意したバッグに詰めて、宿泊先やロッカーに置いておくので、何日に及ぶ旅でもカメラバッグに入れるものは殆ど変わらない。

  • X-T1 + XF16mm F1.4
  • X-T1 + XF35mm F1.4
  • SDカードケース
  • 予備バッテリー 4個
  • 清掃用品
  • 小物類ポーチ
  • スマートフォン
  • モバイルバッテリー

この程度を入れたくらいではまだ十分な空きスペースがあり、過剰ともいえる分厚い保護材が入っていないこともあり、見た目そのままにたっぷり収納できる。おかげで朝晩の冷え込む時期には薄手のジャケット、天候の悪い時には雨具、飲食店のないところでは食料といった具合に、追加で場所を取るものを入れておくことができる。

カメラが小柄なミラーレス機ということもあり、カメラの下側にも少し空きスペースができるため、ここに細身の交換レンズや小物類を入れることもできる。

メイン気室にカメラ類を収納したところ。
カメラなど基本的なものを入れたメイン気室

A4の収まる内ポケット

メイン気室内の背中側には内ポケットが用意されており、A4サイズのパンフレットや書類を折り曲げることなく収納できる。内寸はH33 W23 D2.5cmとなっている。メーカーではPC収納部としており、実際 Macbook を入れることも可能だった。

同じくらいのサイズをしたカメラバッグでも、内ポケットが小さくてこれができないことは珍しくなく、旅先では折り曲げたくない資料を入手することも多いので、この内ポケットの存在には随分と助けられた。

メイン気室内にある大きな内ポケットに、Macbookを入れたところ。
Macbookも入る内ポケット

使いにくい前面ポケット

前面にはジッパー付きの大きなポケットが付いている。こちらは使いやすいメイン気室とは対象的に使い勝手がいまいちだった。まずマチがほとんどないので開口部が大きい割に厚みのあるものは入れにくい。かといって内ポケットとは異なりA4サイズは入らない。ならば小物入れに良いかといえば、開口部が大きく開かないので内容品の確認がしにくく、手を突っ込んで探すのもやりにくい。内部にはご丁重にベルクロ付きのポケットまであるけど、これといった使いみちが思いつかない。

あれこれ入れては試してみるが、結局のところ頻繁に使用するものはメイン気室や、その上蓋にあるメッシュポケットに収めた方が使いやすく、この前面ポケットは使用頻度の低い小物を適当に押し込んでいるというのが現状である。

前面ポケットを開けたところ。内部には2つの小ポケットがある。
前面ポケットは内部に2つの小ポケットがある

便利なボトルホルダー

側面にはボトルホルダーが付いているのが嬉しい。これがないとペットボトルのやり場に困ることになり夏場は特に難儀する。過去にはバッグ内に入れたためにカメラが冷やされて結露したり、片手にカメラ、片手にペットボトルという間抜けな撮影姿になったことも。それだけに最近はボトルホルダーのないバッグを見ると、それだけで購買意欲が削がれてしまう。

使用する上で心配になるのが、バッグを前後に移動させる時に落ちないかだが、飲み口の部分をゴムで固定できるようになっているのでその心配はない。ただバッグを前側に持ってきた時に、ホルダー部分がバッグ下側に位置するので、ペットボトルは手探りで出し入れすることになる。当初これでは使い物にならないと思ったが、今では見えなくても片手でゴムを外して取り出し、また入れてゴムを引っ掛けることができるようになった。

またボトルホルダーが便利なのはペットボトル以外に、ミニ三脚や折りたたみ傘を取り付けることが可能なことだ。傘は30cmほどあるので内部には収まらないし、収まったとしても濡れた傘は入れたくない。ここなら電車内や建物内では吸水ケースに収めた傘を気軽に差し込んでおけるので、雨の日にはとても重宝している。

ペットボトルを入れたボトルホルダー。
何かと便利なボトルホルダー

メモ用にポーチを装着

スリングバッグは素早いアクセスが可能とはいえ、ショルダーバッグに比べるとやはりワンテンポ遅く、頻繁に出し入れするには少し面倒なものがある。カメラは撮影時ともなると常に手に持っているタイプなので問題ないが、見聞きしたことのメモに使用する、手帳・コンデジ・ICレコーダーなどは突然必要になるのが困り物。どれかひとつならズボンのポケットに入れておけるが、全て入れるには量が多すぎ、夏場ともなると汗でひどいことになる。

そこで考えたのがショルダーベルトにポーチを取り付けることで、いくつか試した結果、シンクタンクフォトの「リトルスタッフイット」が一番しっくりきた。これはコンデジやスマホを収納して各種ベルトに取り付けるためのポーチで、ベルクロで簡単に脱着できる上に、縦横どちら方向のベルトにも対応しているので、ウエストベルトからショルダーベルトまで何にでも装着できる。宿泊先にバッグを置いてポーチだけを手にふらりと出かけることもできる。どこにでも持って歩けるメモ用にはもってこいのポーチなのである。

ショルダーベルトに取り付けたポーチ、thinkTANKphoto Little Stuff It! V3.0。
ウエスト部分に水平状態で取り付けられる

ショルダーベルトにカメラを吊るす

カメラにはハンドストラップを使い、撮影時は常時カメラを手に持っている。通常はこれで何の問題もないが、一時的に両手を使いたい時に困る。ショルダーバッグなら手軽に収めることができるが、スリングバッグだと短時間だけ収納するのは面倒だ。かといってネックストラップは撮影時に邪魔なので使いたくない。そこでバッグのショルダーベルトをネックストラップ代わりにしてしまうことを思いついた。

まずショルダーベルトの適当な位置に小型のエスビナーを装着。そこにハンドストラップ基部にあるリングを通す。やってみるとバッグに収納することなく両手が使えるようになり、想像以上に便利だった。撮影時には取り回しの良いハンドストラップでありながら、撮影しない時にはネックストラップのように体の前に吊るしておける。それに歩いている時もネックストラップほど右へ左へ動き回らないのも良い。

エスビナーを用いてショルダーベルトにカメラを吊るす。
エスビナーでショルダーベルトにカメラを吊るす

背負い心地

背負い心地としては背面が直線的なため、言ってみればクッション性のある板のようなものなので、登山用ザックのように吸い付くようにピタリとはこない。ただ歩いている分にはブレることもないし、可もなく不可もなくである。

ショルダーベルトは長さを使用中でも簡単に調整できるようになっているが、しっくりくる長さにするのがなかなか難しい。短くするほど背中にはフィットするが、同時に胸の方に回した時の位置が高くなりすぎ、カメラの出し入れがやりにくくなる。1〜2ヶ月くらい試行錯誤してようやくここという位置に落ち着いた。

ウエストベルト

存在に気づかないほどうまく収納されたウエストベルトがあり、これを使うことでリュックのようにしっかり背中に固定することもできる。自転車に乗ったり悪路を走ったりするような時に便利そうだが、私の使い方ではショルダーベルトのみで十分安定しているので、未だに利用したことはない。

右側の収納部から引っ張り出したウエストベルト。
収納ポケットから引っ張り出したウエストベルト

重量はどのくらいまでいけるか

容量はたっぷりだが実際に朝から晩まで使用していると、4〜5kgくらいに収めておかないと肩が痛くなったり肩がこったりした。リュックであれば両肩に負荷が分散されるし、ショルダーであれば交互にかけることでこれまた負荷を分散できる、ところがこれは常に左肩にだけ負荷がかかるせいだろう。加えてショルダーベルトがペラペラで、クッション性が低いことも影響しているかもしれない。

当初は対策として荷物を1gでも軽くするように努めたり、リュックを片掛けするように、中身を取り出す必要のない時には右肩にかけて左肩を休ませたりしていた。ところが半年も使い続けていると慣れの影響もあってか、常時左肩でも何ともなくなってしまい、重量も6kgくらいまでは許容範囲かなという感じで落ち着いた。

優れた耐水性

想像以上に良い仕事をしてくれたのが耐水性だ。これまで使用してきた数々のバッグは何れも雨には弱く、レインカバー無しではすぐに悲惨なことになった。それ故にこのバッグにもさほどの期待はしていなかった。

ところがある日のこと、想定外の激しい風雨に襲われ、雨具が何もなかったこともあり1時間以上も雨ざらしで歩くことになってしまった。ようやく小康状態になったところで恐る恐る確認すると、見事なまでに水の侵入を防いでくれていた。前面や底面に使用されたターポリンは防水性があるので、ここが大丈夫なのは想像通りだったが、開口部の止水ジッパーや側面の撥水加工も、飾りではなくしっかり機能している。アウトドア利用を想定した製品とはいえ、過去に使ってきたバッグの中ではダントツの耐水性である。

そんな経験もあり、完全な雨の日にこそ傘を差したりレインカバーをかけたりするが、一時的な通り雨や夕立くらいなら、特に対策することなく雨ざらしで使用している。ただ徐々に撥水性能が低下しているのも感じるので、たまに撥水スプレーをかけるのが良いと思う。

濡れた本体。

余談だが付属のレインカバーは縫製が酷いもので、縫い付けてあるベルクロテープが新品だというのに糸がほつれて取れてきた。すぐに気がついたので縫い直して事なきを得たが、もう少ししっかりしてもらわないと、本体の縫製は大丈夫なのかと不安になってくる。

まとめ

昨年秋から半年ほど使用してきたが、結論からいえば購入して大正解だった。必要とあれば素早く内部にアクセスでき、普段は邪魔にならない背中側に回しておける、そして耐候性や収納力も十分にあり、街でも山でも晴れでも雨でもオールマイティに使える。徒歩での気ままな旅には実に使いやすい。

購入当初こそ長らくショルダーバッグを愛用していたこともあり、荷物の出し入れのたび前後に動かすのが面倒だし、比較して気室へのアクセスがワンテンポ遅くなることに不満を感じたりもしたが、すぐに慣れた。そして使えば使うほど万能的な使いやすさの虜となり、今では本格的な登山の場合を除き、他のバッグを使う機会がなくなってしまった。