2021年12月30日、夜明け前の倉敷駅から、6時7分発の三原行きに乗車した。青春18きっぷを手に西へ西へと向かっている途上で、前日は東海道本線から山陽本線と進んで岡山を過ぎた倉敷で投宿、この日は糸崎、岩国、下関と乗り継いで九州入りする計画であった。
刻々と明るくなる景色のなか、列車は快調に足を進めていくが、尾道辺りまできたころだったろうか、車内放送で西条から安芸中野までの区間が運転を見合わせていることが告げられた。
突然のことに焦りながらも調べると、広島を目前にした瀬野と八本松の間で貨物列車が脱線、当核区間を含む西条から安芸中野までの区間が運転見合わせとなり、復旧の見通しは立っていないということだった。事故発生はおとといだというのに全然知らなかった。
幸いにして新幹線による代替輸送のほか、代行バスもあり、呉線を迂回するという手もあるので、どうしたものか思案しながら列車に揺られる。新幹線は青春18きっぷのような企画乗車券は対象外だろうし、バスは列車とは接続しないというやる気のなさ、そうなると呉線かなと思うが、いましか乗れない代行バスにしてみることに決めた。
三原まであとひと駅という糸崎で西条行きに乗り換える。本来であれば岩国まで運んでくれるはずだった列車だ。今回は西条で代行バスに乗り継ぐことになる。
発車後すぐはじまった運転見合わせや代行バスについての車内放送に耳を傾けていると、三原から広島までの新幹線による代替輸送は、事故発生前に購入したものであれば青春18きっぷも対象だと告げていて驚いた。迂回路があるのに新幹線を使わせるとは太っ腹だ。これは代行バスより珍しいと、車内放送が終わるやいなや到着した三原で慌ただしく列車を降りた。
三原の新幹線改札口で代替輸送を申し出ると、青春18きっぷの購入日付を確認してから「新幹線代替輸送乗車票」なるものが手渡された。取り急ぎ用意したからかコピー用紙に印刷したような代物だった。
新幹線ホームに上がると次の列車まで15分ほどあった。朝食でもと思うけど小さな駅なので、わずかばかりのベンチと自販機しかなく、ぼんやり立っているほかやることがない。
閑散としていたホームに利用客が集まりはじめると、ほどなく7時59分発の「こだま837号」博多行きが滑り込んできた。発車まで30秒ほどしかなくせっつかれるように乗車。こだまだからかコロナだからか、年末の下り新幹線とは思えないほど空いていて、座席はよりどりみどりであった。
あっという間に広島に到着して、改札口で乗車票を手渡すと、改めて青春18きっぷの購入日付を確認したうえで通された。
構内で朝食を済ませてから在来線ホームに向かうと、なんとそこには事故がなければ乗っていたはずの、南岩国行きが発車を待っていた。三原での時間待ちに広島での朝食がありながら追いつくとは、新幹線の快適さと速さを見せつけられた気分であった。
(2021年12月30日)
コメント
なるほど..
まさに不幸中の幸運ですね。
こういう旅の嬉しかったり悩ましかったりも18切符の旅の醍醐味なのかもしれませんね。
運転見合わせにはヒヤリとしましたが結果としてはいい旅になりました。良くも悪くも予定どおりにいかない旅ほど、いつまでも記憶に残る旅になりますね。
高崎線でも籠原駅で架線が火事になって熊谷~高崎で新幹線に乗車券や定期券だけで乗れるときありました。
高崎線でもそんなことがありましたか。鈍行から新幹線への代替はちょっと得した気分になりますね。通勤通学だとそんな悠長なこともいってられないですが…。
18切符の購入日(後半)により、振替の対象外でした。スケジュールの都合新幹線に乗りましたが、有人改札が混んでいて乗り遅れそうてした。
私が利用したときは時間帯によるものか空いていて、三原は誰もいないほど、広島でも待たされることはなかったです。今回の件で売り切れることのない切符でも、なるべく早く購入しておくべきだなと思いました。