2016年の大晦日、今年最後となる日の入りは静岡県沼津市にある、千本松原で見届けることにした。昨年は江ノ島の七里ヶ浜だったが今年は静岡県に居たので、このあたりで駅から近く日没の美しそうな場所となると、ここが一番良さそうだったのだ。
沼津駅にやってきたのは15時少し前。幸いにして青空が広がり空気も澄み渡りと、日の入りを拝むには絶好の日和である。
駅を出ると適当な道を太陽へと向かって進んでゆく。沼津は初めて訪れたが、どこまで行ってもアーケードの続く大きな街だ。途中には美味しそうな食べ物も売られていて、そば弁当とか興味深いものもある。だが日が傾き始めると早いのでそれどころではない。
やがて松の立ち並ぶ千本松原とおぼしき場所を見つける。松林に足を踏み入れると西日に照らされ陰影の付いた様子が美しい。ほとんど人気もなく犬の散歩などをする地元住民の姿をたまに見かける程度だった。
松林を抜けた先には穏やかな太平洋が広がり、ゆったり弧を描く海岸線がどこまでも続く。そして背後には松林と富士山という雄大な景色だ。
まだ日没まで1時間以上あったので波打ち際まで行ってみたり、松林の中を歩いてみたりと時間をつぶして周る。
ひと通りの散策を終えると適当な場所に腰を下ろし、徐々に赤みを増してくる海や富士山を眺めつつ日没の時を待つ。海沿いには散歩や釣りをする人、凧揚げをする子供の姿などがあり、穏やかに時間だけが過ぎてゆく。
周辺には時間の経過と共にどこからともなく人が集まってくる。そして16時半を回るといよいよ赤みを増した太陽が、三保の松原をかすめるように水平線に沈みはじめた。これで今年も終わりかと思うと感慨深い。
16時44分日没。周りを見渡せばスマホでしきりに撮影する人から静かに見つめる人まで様々、今ごろあちこちで同じような光景が展開されているのだろう。
完全に日が沈むと徐々に体感温度が下がりはじめ、少しずつ人の姿も消えてゆく。何だか寂しい空気が漂いはじめ、昼と夜のはざまのようなマジックアワーの空に包まれる頃には、僅かな人が残るのみとなっていた。
ほぼ暗闇に包まれる頃まで海を眺めてから沼津駅へと向かう。適当に歩いてやってこれた場所だからと、帰りも適当に歩いたら見事に道に迷ってしまい、1時間も歩く羽目になったが…。
(2016/12/31)
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