富山から高岡へ時刻表にないルートで一周してみた

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富山から高岡へ公共交通機関で移動しようと思うと、時刻表の上では「あいの風とやま鉄道」か「北陸新幹線」で行くルートしか存在しない。

しかし実際には富山ライトレールの終点である岩瀬浜から、万葉線の終点である越ノ潟まで、射水市コミュニティバスと県営渡船(越ノ潟フェリー)で結ばれており、時間と手間はかかるがバラエティ豊かな乗り継ぎが可能だ。

そこで今回は富山〜岩瀬浜〜新湊〜伏木〜高岡〜富山、というルートで一周を試してみた。

富山ライトレールで岩瀬浜へ

旅のスタートは富山ライトレールの乗り場があるJR富山駅の北口だ。

以前は小さな木造駅舎がある何だか寂れた場所で、その雰囲気が結構気に入っていたのだが…。久しぶりに来たら随分と近代的に様変わりしていた。

富山駅北口駅舎

駅前にある富山ライトレールの乗り場に向かうと、程なくして岩瀬浜からの列車がやってきて、折り返しの岩瀬浜行きになる。日中は15分間隔で運転されており、運賃も一律200円と安くて便利。

富山駅前のライトレール

乗車すると車内は新しくて快適で、走り出すとモーター音がよく聞こえてくる。車内は程よく埋まっており、終点に向けて徐々に減っていくのだろうと思いきや、意外にも殆ど増減はなかった。

この路線はもう20年以上前の、かつてJRの富山港線だった時代に乗った事があるのだが、その頃に印象に残っていた景色が結構残っていて懐かしい。

終点の岩瀬浜駅はホーム1面に小さな待合室があるだけの駅で、終点としては何だか味気ない。以前来た時は古い木造駅舎に駅員も居た事を思い出した。

”岩瀬浜駅のホームと待合室”

駅前にはバス停がある程度でこれといって何もなく、とりあえずはバス停を見に行ってみる。射水市コミュニティバスの「海王丸パーク・ライトレール接続線」の時刻表があり、1日5往復あるが土日祝日のみの運行なので注意が必要だ。バスの時間まではまだ1時間程あるので、海の方に向かって散策に出かける。

神通川河口付近

海岸は駅から徒歩数分の所にあり、背後には立山連峰も望む事ができる。天気と景色は良いものの風が強くて、高い防波堤を波が超えてくる程に海は荒れており、のんびり海岸を歩けるような状態ではない。

岩瀬浜海水浴場

射水市コミュニティバスで新湊へ

岩瀬浜の海岸をぶらぶらしてから駅前に戻ると、丁度射水市コミュニティバスが入ってきた。どうやらこれが折り返すようだが下車客は0人であった。

射水市コミュニティバス

まだ時間はあるものの外は寒いので乗車して待つ事にする。見習いなのか若い運転手に、もう1人年配の人が乗っていた。

10分ほどして出発となるが、乗客は自分を入れても3人という空気輸送ぶりで、射水市内では下車しかできない事から、これ以上増える事もない。しかし5往復も運行する位だから他の便はもう少し乗っているのだろうか?

空気輸送の車内

出発すると案内放送の類は一切ないままに、ひたすら突っ走る。射水市内に入ったら何か案内があるのかと思ったらそれもなく、気がつけば新港大橋を渡っている状態で、当初は新湊大橋の手前にある新湊東口で下車して、越ノ潟フェリーで渡る予定だったので「あれっ?」という感じ。

新港大橋

射水市内は下車のみ可能といいつつも、下車するのに一体どういうシステムなのかまったくわからず、初見殺しのバスである。実質岩瀬浜〜海王丸パーク直行便のような状態だ。

特に予定のない適当旅だから別に構わないが、きっちり旅程を組んでる方は気を付けた方が良さそうである。次のきっときと市場前で乗客の1人が降りて、何だか面白そうなので自分も降りてみた。

新湊きっときと市場

中を見て歩くと、市場を名乗るだけあり魚介類が沢山販売されており、食堂もあるので食事をするのにも良さそうだ。ただ観光バスが続々とやってくる場所で、どこもかしこも混雑しているので、結局何も食べないまま早々と退散する。

周囲には広々とした駐車場や空き地が広がっており、これからどうしようか迷う所である。とりあえずは近くにあり、バスの目的地でもあった海王丸パークまで向かってみる事にする。周囲が広々としているだけの事があり、冷たい風が吹き付けてきて天気が良いからまだマシだが寒い。

海王丸パーク

海王丸パークでは青空と立山連峰をバックした帆船と、実に絵になる景色が見られた。周辺では何人か撮影している人はいるものの、その他の観光客は殆どおらず駐車場だけが広々としている。

万葉線で伏木へ

海王丸パークから徒歩数分で万葉線の海王丸駅に到着する。越ノ潟フェリーには乗りそこねたが、結果的になかなかと楽しい移動が出来た。

万葉線は日中15分間隔で運転されており、駅に到着するとすぐに高岡行きがやってきた。車両も富山ライトレールと殆ど同じで快適だ、土日祝日は車内放送が立川志の輔さんバージョンになっているそうで、最初は何だこりゃという感じだが、なかなか面白い。

海王丸駅に入線する高岡行き

このまま高岡駅まで行っても良いのだが、まだ時間が早いので中伏木駅で下車する。ここから川を挟んだ対岸にある、JR氷見線の伏木駅へ行ってみようという訳だ。

単純にJR氷見線に乗り継ぐだけなら、新能町で下車して能町駅へ行くほうが近いのだが、今回は新しく架けられた伏木万葉大橋を渡ってみたかったので、あえて中伏木で下車する事にした。

中伏木駅

ここは昔からの雰囲気を残した停留所で趣があって良い。この近くには数年前まで如意の渡しという渡し船があったのだが、橋が出来た事により廃止されてしまったのはちょっと残念だ。

伏木万葉大橋

伏木万葉大橋は、渡し船の代わりもあって歩行者の事を考えているのか、歩道が車道並みに広く取られていて歩きやすい。橋の上からは小矢部川の河口が望め、景色を楽しみながら渡りたい所だが、この日は強風が吹き荒れていてそれどころではなく、小走りに一気に渡る。

小矢部川河口

橋を渡り終えた所には古い鉄道車両が沢山置いてあり、それを眺めつつ歩いていると、どうやら伏木駅とは逆方向へ行ってしまったようで道に迷った…。

氷見線で帰路に就く

伏木市内を適当に歩き回ること約20分、ようやくJR伏木駅に到着した。まあ人に尋ねればすぐわかる事だが、あえて地図も見ないで勘だけで進むのが楽しい。

伏木駅舎

伏木駅はみどりの窓口こそあるものの、誰も居ない大きな待合室や自販機置き場と化したキヨスク跡が、なんとも寂れた雰囲気を漂わせている。

そろそろお腹が空いてきたし次の列車まで時間もあるので、食堂でもないかと駅の周囲を歩いてみたが残念ながら食事が出来そうな所はない。海王丸パークも喫茶店位しかなかったし、きっときと市場で食べなかった事がちょっと悔やまれる。

伏木駅ホーム

ホームでしばらく待っていると高岡行きの普通列車がやってくる。空いてるだろうと思ったが、予想に反して立ち客も出る混雑ぶりで、この列車が今回の旅で最も混雑していた。

伏木駅に入線する高岡行き

氷見線の車窓は引き込み線の跡や工場地帯に住宅街と変化があり楽しく、外を眺めているとすぐに高岡に到着する。これで富山から高岡への海沿いルートを利用した移動は終わり、後は富山に戻れば一周完了だ。

最終ランナーとなる富山行きの普通列車は、4両と長い上に乗客も少ないのでゆったりしており、走行音も静かで滑るように走り何とも快適。

高岡駅

半日ぶりに富山駅に戻ってきて、遅い昼食を食べる頃にはもう夕焼けが始まっていた。

西日を受けた富山駅

富山〜高岡とそう遠くないこの距離で、様々な交通機関を乗り継げるこのルートはなかなか楽しく、次は今回乗りそこねたフェリーも利用して移動してみたい。

今回の旅費

事業者 区間 運賃
富山ライトレール 富山駅北〜岩瀬浜 200円
射水市コミュニティバス 岩瀬浜駅〜きっときと市場前 500円
万葉線 海王丸〜中伏木 250円
JR氷見線・あいの風とやま鉄道 伏木〜富山 520円
合計 1470円

今回は氷見線も利用してぶらぶらしてる時間も多かったので時間がかかったが、単純に富山ライトレール・コミュニティバス・フェリー・万葉線と富山〜高岡間を移動するだけなら、フェリーが無料という事もあり1050円で済み、時間的にも2時間位である。

(2015/12/12)

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