SL津和野稲成号を利用して太皷谷稲成神社で初詣

SL津和野稲荷号

2016年最初の旅は昨年末に指定席券が取れた事もあり、毎年正月に運転される山口線のSL列車「SL津和野稲成号」に乗って、津和野の太皷谷稲成神社まで初詣に行く事にした。

という訳で2016年の1月2日、午前10時頃に新山口駅へとやってきた。出発は10時48分でまだ時間があるので、駅周辺を一回りしてから改札を抜ける。コンコースでは駅弁を山積みにして販売していて、考えてみれば津和野到着は昼過ぎになるので、車内で食べれば丁度いいと購入しておいた。

新山口駅
新山口駅

列車の乗り場である1番線ホームに向かうと、既にディーゼル機関車に牽引された3両編成の客車が入線していた。来るのが遅かったかと一瞬思ったが、SLの方はこれから連結するようでまだ姿はなかった。

しばらく待って10時半、C56がゆっくりとバックで入線してきて先頭に連結された。ヘッドマークは普段のやまぐち号とは違う”賀正”がデザインされた正月仕様だ。

新山口駅ホーム
新山口駅ホーム

ホームは撮影や見学する人々で混雑が激しく、それに混じるようにして少し撮影したら逃げるようにして座席に向かった。見たところ撮影するなら向かいのホームの方が良さそうで、向こうで撮影してからこちらに来た方が良さそうだった。

客車はレトロ風の3両編成で、1号車が展望車、2号車が明治風、3号車が大正風とそれぞれ異なるデザインをしている。この中で2号車だけは床下に発電機が付いていて騒がしく、3号車は展望デッキが密閉されていてイマイチなので、開放デッキの付いている1号車を指定して座席を確保しておいた。

車内に入ると欧風レトロな良い雰囲気で、やや暗めな室内もまた良い。各ボックス席にはテーブルがあり、その上にはカレンダーが4冊ずつ用意されていた。ここまでは良かったが残念なのがスピーカーの調子が悪いことで、車内放送の音声が何を言っているのか聞き取れるような状態ではなかった。

展望車の室内
展望車の室内

10時48分、ほぼ満席という乗車率で新山口駅を発車した。久しぶりに乗った客車列車の乗り心地はやはり良いもので、そこに汽笛の音や窓の隙間から入ってくる煤が何ともいえない懐かしい雰囲気を醸し出している。

途中で車掌さんが回ってきて乗車記念のカードとシールを配っていった、ポストカードかと思ったら裏面は単なるメモ欄である。配って行っただけで検札の方は最後まで行われなかった。

乗車記念品
乗車記念品

殆どの人は新山口から津和野まで乗り通していたけど、途中の湯田温泉から山口といった一区間だけ乗って行く人も居た。

山口を出るとトンネルの続く山間部へと入っていき、車内には窓の隙間から侵入してくる煙の独特の香りがこもり始めた。窓が小さいので座席から身を乗り出すようにして外を眺めていると、沿線にはいたるところにカメラマンが居る。時折どこからその場所に行ったのかというような所でカメラを構える姿も見かける。

ゆっくりとした速度で山間部を抜けると、最初の長時間停車駅である仁保に到着した。ここでは乗客も一斉に下車して撮影会の様相となり、車内は終点に到着したのかと思うほど人気のないがら空きになってしまった。

仁保駅で普通列車と交換
仁保駅で普通列車と交換
ごった返す仁保駅のホーム

7分の停車を終えて仁保を出ると、篠目、長門峡とこまめに停車していく。気がつけば12時を回っていて小腹が空いてきたので、ここで新山口駅で仕入れてきたSL弁当を食べるとする。パッと見に少なめかなと思いきや結構食べごたえがあって満腹だ。

昼食にSL弁当を食べる

食べ終える頃には次なる長時間停車駅である地福に到着する。この駅では14分も停車するので、まだ見ていなかった最後部の方も見てくる。こちら側には展望室や展望デッキがあるが、走行中も停車中もいつも人がいる。

最後尾の展望車

続いて先頭の方にも行ってみるが、ここはまあ最初から最後までカメラに取り囲まれている状態である。

地福駅は撮影会場

あちこち見て回っていると14分位はあっという間に過ぎて出発時刻となる。

地福を出ると終点の津和野まではすぐなので、到着前に展望デッキにも行ってみる。冬の開放デッキで終点も近いとなれば空いているだろう、そう思ったのだが意外と最後の最後まで混雑していた。

展望デッキ

開放デッキから流れ行く車窓を眺めるのは、めったに体験できることではなく気分が高揚してくる。ただこの辺りはトンネル区間が続くので、煙にまかれるわ目には煤が入るわで、長居をするにはそれなりに根性が必要でもあった。

展望デッキから流れ去る景色

連続するトンネル区間が終わると左手眼下に津和野の街並みが見えてきた。津和野駅に到着して慌ただしく下車すると、車内の方ではすぐにゴミの回収作業が始まっていた。

津和野に到着入れ替え作業中

しばらくホームで撮影をしてから、そろそろ改札を出ようかなと跨線橋を渡り駅舎に向かうと、ちょうど改札前の線路に入れ替え中のSLがやってきた。この頃になると乗客もほとんど姿を消してしまい静かなものである。

津和野駅構内で入れ替え中のSL

指定席券には無効印を押してもらい記念にいただく、なぜか無効印はインクがにじむことが多い気がする…。

往路の指定席券

駅を出ると益田寄りにあるターンテーブルへと向かう。駅前を通る道路をしばらく進み、踏切を渡った先にあるのだが、結構距離がある上に神社とは逆方向とあって、参拝時間が大丈夫かと時間が気になり自然と早歩きになる。

すでにたくさんの見物人やカメラマンの姿があり、その中に混ざってSLやディーゼル機関車の動き回る姿を見物する。どちらも復路までしばらくおやすみだ。

ターンテーブルで方向転換をするSL休憩中のSL休憩中のディーゼル機関車 DD51

一通りの作業が終わったころを見計らい、本来の目的地である太皷谷稲成神社に向かう事にして駅へと戻ってくる。

津和野駅 駅舎

駅前の道路を歩いて向かうが車の通行量が多く、歩道も参拝に行く人&帰る人でごった返していて歩きにくい。空模様も相変わらずだが気温は高めで特に寒くもないのはありがたい。源氏巻が名物なのか、あちこちで販売していたり焼いていたりして後で買ってみようか。

駅前の道路を進む

駅から15分ばかり歩くと表参道に到着する。ここからいよいよ拝殿に向かって石段を上がっていく事になる、説明によると263段の石段に鳥居は1000本程あるらしい。

太皷谷稲成神社の鳥居

行く人に帰る人でごった返す鳥居の中を進むと、所々に津和野の街を見下ろす丁度いい開けた場所があるので、そこらでひと休みしつつ先へ進む。途中売店もありお供え用の油揚げやローソクも販売されていた。

鳥居の途中から望む津和野の街太皷谷稲成神社の売店

石段を登り切る前に列の終端にぶつかり、これが拝殿まで続いているのかぁと思いつつ並ぶが、どうやらこれは手水舎への列であった。お清めをしないのであればさっさと先へ行く事もできるようだが、ここはしっかりお清めをしてから拝殿へと向かい参拝する。

太皷谷稲成神社の拝殿参拝の列

ここまで登ったり並んだりと時間がかかったように思ったが、実際には駅から40分程度しか経過していなかった。SL津和野稲荷号で初詣に来ても、津和野での滞在時間は3時間とないから、慌ただしすぎやしないかと思ったが余裕たっぷりだ。

津和野の街を望む

さて街に戻ってくるが、帰りのSLまでまだ1時間程あるので、津和野の街中をぶらぶら歩きつつ駅へと向かう。やはり正月では参拝がメインなのか、神社の混雑ぶりに比べて街中はガラガラである。

こちらが観光用のメインストリートなのか、行きに通った道に比べて美しく整備されており、静かで歩きやすくこれはなかなか良い。水路には鯉が泳いでいるが、寒いからか皆が上げるからか餌には見向きもせずな状態である。

津和野の街並み鯉

津和野の古い町並みはよく整備されていて美しいが…。

整備された古い町並み

自分的にはこういう普通の裏通りの雰囲気の方が好みだったりする。

裏通り

駅に到着するもまだ早く、30分ばかり時間が余ってしまった。駅舎内にはこの規模の駅にしては珍しく立ち食いそばがある。食べたくもなるが時間が半端なので、隣にあるキヨスクでツマミ類をあれこれと購入。するとキヨスクのおばちゃんがビールは駅前の店にあるよと案内されてしまった。

待合室の椅子は全て埋まっており何とも居場所がないので、駅横の広場で準備中のSLを眺めて時間つぶしだ。

SLは復路の準備中

15時半ごろに改札がはじまり、さっそく乗り込む。帰りは空いているかと思ったら、座席はほとんど埋まっており混雑している。やはり往復で乗車する人が多いということか。

復路の乗車開始

座席の方は往路と同じ1号車を確保しておいた。やはり今回の3両ではここが一番雰囲気が好みだし、復路だとSLに最も近くなるので音の面でも楽しめそうだ。座席位置は往路と違い、それだけであの絶望的に聞き取りにくかった車内放送が普通に聞き取れるから面白い。

帰りの指定席券

ちなみに復路にはカレンダーとシールは用意されておらず、あれは往路に乗車した人のみもらえるようだ。ただ乗車記念カードだけは同じように配られて、往路の手渡しとはちがい4枚まとめてテーブル状にドサッと置いていった。

復路の車内

開放展望室はSLのすぐ後ろにあるが、煙をまともにかぶる事もあり閉鎖されてしまうので、こうして窓越しに眺めるしかできない。

sl-tsuwano-inari-45

15時45分出発する。SLに近いだけに往路よりもSLの音を近くに感じられ、窓の隙間からは往路以上に煤が入ってきて窓枠に白く積もっていた。

復路は長時間停車の駅もなく快調に先へと進む。沿線には往路と同じく沢山のカメラマンを見かけ、車で追いかけているようで同じ車を何度も見かける。

山口や湯田温泉でもポツポツと下車する人達も居るが、殆どの人は新山口まで乗り通していた。終点の新山口に到着する頃にはすっかり周囲は暗くなって、橙色の照明に照らされた薄暗い車内がとてもよい雰囲気だった。

(2016/01/02)