スナップ写真用に軽くて素早くカメラを出し入れできる、ショルダー型のカメラバッグが欲しい。漠然とそんなことを考えつつ探してみるも、帯に短したすきに長しで、そうそうしっくりくる物に出会うことはない。そんな中でこれは使いやすそうかもと思ったのが、マンフロットのウィンザーコレクションにあるショルダーバッグだった。
現在主力として使っているカメラバッグはアクリュのボノで、これは全体的に満足度の高い作りをしている。だが何分にも革製のために悪天候時や汗をかく夏場にはあまり向いていないし重量も気になる。そのため使う場面によっては不満を感じることもあった。
このマンフロットのカメラバッグはそんな不満を一気に解決してくれそうな仕様だったので思わず購入してしまった。
外観は厚みがわずか11.5cmと非常に薄く、細身のショルダーベルトと相まってスマートな姿をしている。A4サイズの書類がピタリと収まる形で開閉部はジッパーと、何だかカメラバッグというよりも、おしゃれなビジネスバッグといった雰囲気だ。このあまりカメラバッグらしさを感じさせない外観がスナップ写真には都合が良い。
容量としては私が必要とする全てのものがギリギリ全て収まる絶妙さで、重量も650グラムと非常に軽い。ただそれだけに余分なものはほとんど収まる余地はないので、撮影中に何かを買ったり貰ったり、はたまた何かを追加で持っていくには不向きだが、その辺はサイズとのトレードオフなので仕方がない。
開閉部はカメラバッグによくあるフラップではなくジッパーになっていて、これもこのバッグを選んだ理由のひとつ。長年フラップ型のバッグを使ってきたが、頻繁かつ素早くカメラを出し入れするにはジッパー型の方が良いのではないか? 最近そんな事を思うようになったので物は試しにという訳だ。
世の中にはフラップ上にジッパーが付いた、両方のいいとこ取りのようなバッグもあるが、それだとジッパーで開くのは上面の一部だけなので、中央部分はまだしも端の方に入れた機材は出し入れがやりにくい。その点このバッグはサイドまで回り込むように開くので、端に入れたものでも出し入れがしやすい。
内寸は仕様によると高さ26cm、幅37cm、奥行き8cmとなっている。一方で私のカメラX-T1は高さが9cmほどある。はたしてこの1cmオーバーはどうなのかと恐る恐る入れてみるとピタッと収まった。スペースの無駄がない上に出し入れもスムーズでちょうど良い。
中仕切りはできればレンズ付きのボディを2台に加えて、交換レンズを1本かコンデジを入れられるように3つに区切りたかったが、付属の仕切りではキレイに三分割することはできなかった。もっともスムーズな出し入れのためにはカメラ2台が限界ともいえる。仕方がないので追加のレンズはカメラの下に入れておくことにした。
内部の前面側にはジッパーの付いた小物入れが付いている。とりあえず予備バッテリーを入れてみたがマチがある訳ではないので収まりが悪い。あとカメラを出し入れする時にジッパーの金具が当たることもあるのが少し気になり使い勝手は今ひとつだ。背面側には大きなポケットがありMacbookがピタリと収まった。
さて上部にはカメラ収納部のジッパーと並んでもう1つジッパーがあり、ここから前面に付いている大きなポケットにアクセスできる。ここにはA4サイズの書類を折り曲げることなくストンと収めることができた。また内部には小さなポケットが2つ付いていて、ここはスマホやモバイルバッテリーを入れるのに都合が良い。
ただこのバッグのポケットに共通する話だがマチらしいマチはないので、厚みのあるものを入れるにはあまり向いていない。まあ入れようと思えば柔軟性があるので入るのだけど、前面がどんどん膨らんでいき見た目的には微妙な事になる。
このバッグは基本的にカメラ以外の厚みのある物の収納には向いていないと思う。
さて外側の前面には一見すると無意味な2本のベルトが付いている。これは三脚を固定するのが本来の用途のようだが、ここに折りたたみ傘を取り付けると便利で、雨が降ってきたら素早く取り出せ、雨が止んだり室内に入って不要になればまた素早く収納できる。
試しに本来の用途である三脚も付けてみたところ、自由雲台を付けたゴリラポッドがピタリと収まった。内部にはこういった長いものを収めるスペースはないので、外に取り付けられるこのベルトの存在はありがたい。
側面には片側だけだがペットボトル用の折りたたみポケットが付いている。夏場の撮影には特に重宝する装備である。残念ながら反対側の側面には何もポケットはなくて、ここにコンパクトカメラやチケット類を入れられるような小さなポケットがあれば便利だったのに惜しいところだ。
見た目に分からない重要な点として軽いことが挙げられる。実測でもわずか700gほどしかなかった。このクラスのカメラバッグは1kgを越えることも珍しくないのでこの軽さは大きな武器になる。たかが数百グラムとはいえ1日3〜4万歩を歩くとなると、夕方あたりには大きな違いとなって足や肩にあらわれてくるのだ。
軽さと引き換えに革製のボノのような手触りの良さや重厚感はないが仕方がない。機動力と速写性を兼ね備えながらも、私が必要とする全てのものがピタリと収まり、とっかえひっかえ使ってきたカメラバッグの中ではかなり理想形に近い製品だ。
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