伊東線 全線全駅完乗の旅(熱海〜伊東)

旅の地図。

目次

プロローグ

2016年8月4日、今回は東京で1日暇があったので、東京から日帰りで完乗できつつ自然豊かな路線として探した結果、伊豆半島の付け根にある伊東線に向かうことになった。

伊東線は静岡県の熱海から伊東までを結び、全長は16.9km、駅数にしてわずか6駅しかないという小さな路線だ。そして全線を通して海岸線近くを走る風光明媚な路線である。

熱海あたみ

  • 所在地 静岡県熱海市田原本町
  • 開業 1925年(大正14年)3月25日
  • ホーム 3面5線(在来線)
完乗状況の路線図
熱海駅舎 (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
熱海駅舎

伊東線の起点熱海に降り立ったのは6時を少し回ったところだった。東海道本線の始発列車に乗ってきた。何となく熱海というと神奈川県のような気がしてしまうのだが、熱海は静岡県であり、伊東線も全線に渡って静岡県を走っている。まだ朝も早いというのに日が照りつけ気温も高いので、何もしないうちから汗がじっとり滲んでくる。

ホームから駅舎へと伸びる地下道に降りると通勤利用なのか人が行き交い、あちこちで工事中ということもあり、雑然騒然といった様子で落ち着かない。逃げるように改札を抜けてしまったので駅構内は特に印象には残らなかった。

駅舎はぱっと見たところ3〜4階はありそうな大きな建物だ。ちょうど建設工事中で大半を足場に囲まれた微妙な姿でもある。少し前までは古い小さな駅舎が使用されていたが、耐震性などの問題から建て替えとなったそう。もう少し早ければ歴史ある駅舎を、もう少し遅ければ完成した新駅舎を拝めたという間の悪さだ。

熱海サンビーチ

熱海というのは駅名には馴染みがあるが、通過するばかりで駅から出たのは初めてだ。それだけにどこに何があるのかサッパリ分からない。考えても温泉くらいしか思い浮かばない。そもそもこんな時間では観光施設は何もやってないだろう。とりあえず海が近いのだからと海まで行ってみることにした。

駅は高台にあるので地図を見るまでもなく、ひたすら土地の低い方を目指して下っていく。古くからの街らしく交通量が多いくせに道路が狭いので歩きにくいので、静寂を求めて脇道に入っていく。するとこれがまあ階段の連続するえらいところだった。駅は高台にあるとはいえこんなに急斜面の上だとは思わなかった。

駅と海の間は階段だらけ (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
駅と海の間は階段だらけ

帰りのことは考えないようにして、ビルの谷間のような路地裏のような、薄暗い階段を勢い良く駆け降りていく。そして下りきったところには片側2車線の大きな道路が横切り、そして下りきったところには片側2車線の大きな道路が横切り、その向こうに熱海サンビーチの砂浜が広がっていた。

砂浜に降りると早朝とあってまだ人影はまばらだ。足がめり込むような粒子の細かい白砂は房総から運んできたものだそうで、そこに静かに波が打ち寄せてくる。ようやく落ち着ける場所に来たと思ったのも束の間、強烈な直射日光に追い立てられ早々と砂浜を去った。朝とはいえ真夏の砂浜ともなると日陰がないと長居は厳しい。

熱海サンビーチ (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
熱海サンビーチ

時間はたっぷりとあるので、遠くに見えるヨットハーバーに向けて、海沿いに整備された歩道を歩いて行く。歩道沿いにはベンチが整備されていて海を眺めて休みたいところだ。本当に座っていたら焼け焦げてしまいそうな日差しなので考えるだけだけど。

すぐ脇を通る道路沿いにはヤシの木やホテルが建ち並び、ここは南国リゾートかという面持ちに整備されている。ただ陸から海に至るまで狭い範囲に構造物がひしめき合うので、ゆとりがないというか何というかゴチャゴチャとした印象が残った。

海沿いの遊歩道(X-T1 + XF16mm F1.4R)

日焼け対策に帽子はかぶってきたが、太陽の位置が低い事もありまともに太陽光を浴びてしまう。さすがにまずいなと今更ながら日焼け止めクリームを塗り込んでみた。これで完璧だと思いきやあっという間に汗で流れてしまった。ただ歩いているだけなのに暑すぎる。

まあ暑さや日焼けは我慢すれば何てことないとも言えるが、汗のほうは難敵でありバッグのショルダーベルトまで汗でベタベタになってきた。夏といえば海と思ったが、夏は涼しいところに行くべきだなと薄々感じはじめた。

朝からこの調子では昼間はどうなってしまうのかと考えつつ歩いていると、朝食が終わったのか海に向かう水着姿の人と頻繁にすれ違うようになった。こう暑いとこちらも飛び込みたい気分になってくる。そしてこの暑い中を爺ちゃんがジョギングしていて感心してしまう。

熱海サンビーチ(X-T1 + XF16mm F1.4R)

時計を見るといつのまにか8時近くになっていて、そろそろ次の駅に向かう事にした。何よりここ熱海は東海道本線の駅であって、目的の伊東線の駅ではないのだ。ところが真っ直ぐ駅に向かおうとしたところ、かの有名な「お宮の松」の標識に目が留まった。近いようだし来たついでというものだ、松の前を通ってから駅に向かうことにした。

お宮の松は海沿いを走る道路脇の整備された一角にあった。当然ながら交通量が多いだけに何だか騒々しくて落ち着かないところだ。何だか妙に小さいなと思いきや、これは二代目ということである。結局何がどうという事もなく一瞥して通り過ぎてしまった。

お宮の松 (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
お宮の松

後はいよいよ駅に戻るだけなのだが、坂道が待っているのが分かっているだけに渋々と向かっていく。なるべく最短コースで行きたいと思っていると、ちょうど歩行者向けに熱海駅への標識が出ていて助かった。

海から駅へはひたすらに階段と上り坂の連続で、熱海駅がいかに急斜面上にあるかというのを身をもって実感する。すっかり汗だくになって駅まで戻ってくると、休む間もなく次の来宮きのみやに向かうべく伊東線のホームに向かった。

最初の列車は伊豆急下田行きの普通5631Mだ。入線してきた列車は車両がリゾート21でちょっと得した気分になる。伊豆急下田からやってきた列車の折り返しだったので、ホーム上は降りる人に乗る人でごった返していた。

伊豆急下田行き 5631M (FUJIFILM X-T1 + XF35mm F1.4R)
伊豆急下田行き 5631M

先頭車両の展望席に乗り込むと運良く空席を見つけた。階段状に並んだ座席からは前方の景色がよく見え、側窓も大きく取られていて、普通列車とは思えない作りになっている。眺めが良いだけでなく冷房がよく効いていて涼しく、このまま終点の伊豆急下田まで乗って行きたい快適さだ。しかし残念なことにわずか数分で来宮に到着である。

リゾート21の展望席(X-T1 + XF35mm F1.4R)

来宮きのみや

  • 所在地 静岡県熱海市福道町
  • 開業 1935年(昭和10年)3月30日
  • ホーム 1面2線
完乗状況の路線図
来宮駅舎(X-T1 + XF16mm F1.4R)

快適なリゾート21の展望席から、後ろ髪を引かれつつ下車する。ホームからはすぐ隣を走る東海道線や新幹線がよく見えて、頻繁に行き来する列車の走行音で賑やかだ。この辺りは伊東線、東海道線、新幹線と平行して走っている区間だが、来宮の駅があるのは伊東線だけになっている。

斜面上に作られた駅だからか、駅舎はホームより一段低い海側に設置されており、ホームから地下道に降りると、そのまま上がる事なく駅舎に出る。利用者が多そうな駅なので、有人駅かと思ったら無人駅だった。窓口があった場所は、まるで元々窓口など無かったかのごとく、完全にきれいに塞がれていた。

来宮駅の駅舎内

調べると伊東線の駅は、熱海と伊東を除いた中間の4駅全てが、昨年無人化されたようだ。ここ来宮は無人化までは、みどりの窓口まであったそうだから、利用者の減少ぶりが想像できる。

駅舎は無人化工事に合わせてリフォームされたのか、内外装共にペンキ塗りたてのようなピカピカ感があり、無人駅らしくない小綺麗な印象だ。

券売機のすぐ上にある時計にはツバメが巣をかけていて、もう巣立ち目前といった大きな雛が口を開けている。駅舎内には親鳥が円を書くように飛び回っていた。

ツバメの巣

駅舎から出て振り返ってみると、白壁にオレンジ色の瓦屋根という駅舎が、青空によく映えていた。

来宮神社きのみやじんじゃ

来宮といえばやはり来宮神社だろう、という事で迷わず向かう。

駅前の道路を熱海方向へ向けて少し進むと、左手に線路の下をくぐり抜けて、来宮神社へと向かうトンネルが現れる。このトンネルは伊東線、東海道線、新幹線という、3つの路線の下をくぐるための物で、幅の狭さと壁面の石積みが歴史を感じさせる。

トンネル内部

狭い歩道を通りトンネルを抜けると、目の前に来宮神社の鳥居が現れる。周辺は複雑に交差する道路や、人工物に取り囲まれてやや雑然としており、セミの声や頻繁に通過する電車の騒音もあり、何だか落ち着かない雰囲気だった。

来宮神社の鳥居

神社前の喧騒けんそうから逃れるように、足早に鳥居を抜けて境内へと進む。樹齢1300年という大楠おおくすや、手水舎に立ち寄りつつ本殿へと向かう。本殿前は平日だからか、それともまだ朝が早いからか人はまばらで、木々に囲まれた落ち着いた雰囲気にホッとする。

来宮神社本殿

足元には落ち葉で作ったハート…。

ではなく猪目いのめがあった。

落ち葉で作った猪目

参拝を済ませると、次は本殿の裏手にあるご神木の大楠おおくすに向かう。これが想像以上の太さがあり、そのゴツゴツとした形に風格が漂っている。巨木というのはなぜだか目前にすると呆然と見上げてしまうもので、ここでもそんな感じになってしまった。

周囲は木陰に覆われて過ごしやすい事もあり、ぼんやりと見上げたり周囲を歩いていると、すっかり汗も引いて気分がリフレッシュされた。

この大楠は、樹齢2000年、周囲23.9m、高さ約26mとあり、鹿児島県の蒲生かもうの大楠に次ぐ日本2位の巨木だそう。これより大きい木があるとか、急に蒲生の大楠も見に行きたくなってきた…。

来宮神社の大楠

帰りがけに御朱印を頂こうと参集殿さんしゅうでんに立ち寄る。内部はどこの高級ホテルのフロントだというような作りになっていた。御朱印を頂くと「参拝記念はがき」が2枚付いてきた。

来宮神社御朱印

すっかり気分も良くなり、悠々と来宮駅のホームに戻ってきて、目の前を走り去る東海道線や新幹線を眺めて列車を待つ。やってきた伊豆急下田行きの普通5635Mは、車両がアルファリゾート21で、先程より一段と普通列車らしからぬ普通列車だ。

来宮駅に入線する5635M

先程は先頭車にある展望席に座ったので、今回は中間車のボックス席に座ってみる。中間車は海側の座席は2人がけで窓の方を向き、山側の座席は普通の4人がけボックス席だが床が高くなっていて、どの席からでも海を眺めやすい面白い構造だ。

リゾート21の海側を向いた座席

伊豆多賀いずたが

  • 所在地 静岡県熱海市上多賀
  • 開業 1935年(昭和10年)3月30日
  • ホーム 2面2線
完乗状況の路線図
伊豆多賀駅舎

山の中腹に作られた駅で、全体が緑に包まれたような、木々に囲まれた駅だ。

駅舎に入ると無人駅ではあるが、来宮と同じく最近リフォームしたばかりのようで、古い駅だが全体にキレイな状態になっている。色使いが同じせいか何だか来宮そっくりな印象の待合室だ。

駅舎待合室の様子

駅舎を出るといきなり目の前が階段で、「えっ?」と思うような高台の駅になっている。階段を降りた周辺には定番の自転車ではなく、原付バイクが並んでいるあたりも、この場所が高台である事を物語っているようだ。

木立に囲まれた駅前広場には人気がなく、セミの鳴き声と、ざわざわと風に揺れる木の音だけが聞こえてくる。そして音に合わせるように、足元に広がった木立の影が動きまわるのが印象に残った。

木立が模様を作る駅前広場

多賀神社たがじんじゃ

案内板を見ると観光スポットとしては、長浜海水浴場くらいのようである。しかし海は熱海で眺めたばかりだし、海水浴場に行っても泳ぐわけでもないし、行こうか行くまいか悩ましい。他には多賀神社が目にとまるが、神社も来宮神社に行ったばかりで悩ましい。そして迷った結果、より涼しそうな多賀神社に決めた。

目的地は決まったので、意気揚々と駅前から続く坂道を下り始める。するとこれが想像していた以上の急な下り坂で、遠くに海を望みつつ延々と続いているではないか。帰りのことを考えると思わず「うわぁ」と思ってしまうような坂道だ。

伊豆多賀駅から海へ向かう下り坂

途中までは多賀神社への標識が出ていたのだが、坂を下りきった頃からだろうか、いつの間にかそれが消えてしまった。まあそんな大きな町でもないし、何とかなるだろうと、汗を垂らしつつ勘で道を選びながら歩いて行く。

そして当然のごとく、何ともならず道に迷ってしまった…。

これは参ったなあと思っていると、前方から日傘を差した”おばちゃん”が歩いてくるのが目に留まる。これはチャンスとばかりに神社への道を尋ねると、丁重に道順を教えてもらえ助かった。会話の中でおばちゃんが「多賀神社」ではなく「上多賀神社」と言った気がしたのだが、地元では上多賀神社と呼んでいるのだろうか?

多賀神社の鳥居

教えてもらった多賀神社の場所は、離れた所からも木々に囲まれて小高い山のように見える所だった。道に迷って右往左往している時も、あそこは何か怪しいなあと思っていたが、やはりここだったか。ただ遠くから見てこんもりしていたのは、山だからではなく、何本もの大きな木が茂っているからというのは驚きだ。

多賀神社の拝殿

こじんまりとした拝殿に参拝してから、境内に何本もある大きな木を眺めて回る。マキ、ムクロジ、クスノキ、バクチノキ、ウラジロガシという5本が熱海市の保存樹にもなっているようだ。その中でも拝殿脇でスッと伸びて、大きく枝を広げたクスノキが気に入った。

神社の前にはバス停があり、何人もの人がバスを待っていた。こういった小さな街の何てことのない場所にあるバス停が賑わっているのは、ちょっと新鮮ですらある。

長浜海水浴場

時計を見るとまだまだ時間に余裕がある。そこで結局どうしようか迷った長浜海水浴場にも行ってみる事にした。まずは海沿いを走る国道135号線へと出て、歩道を少し南下すると、まもなく左手に海水浴場が見えてくる。カンカンに照りつける太陽の下で、大勢の海水浴客で賑わっており、木陰に囲まれてひっそりとした多賀神社とは対照的な光景だ。

ゆったりとカーブした広い砂浜に穏やかな海が広がり、絵に描いたような海水浴場になっている。泳いだら気持ちよさそうだが、自分のように砂浜を歩いているだけの人間には、日差しを遮るものもなく、砂漠でも歩いているようなものである。わざわざやってきたが、暑さにたまりかねて早々と退散するのであった。

長浜海水浴場

あの坂道を思い出すと戻りたくないが、戻らないわけにもいかない。駅へと向かって汗を垂らしながら急坂を上がっていく。途中で坂を下ってきた観光客らしき人たちとすれ違った、自分のような物好きも多少は居るようである。でも最初が上り坂ならともかく、最後にこの急坂が待っているかと思うと…。

坂道を上り、階段を上り、ようやく駅舎に到着。

まずは時刻表を確認すると、次の列車まで20分もあった。そこで駅から少し下った所にある小さな商店に向かい、かき氷を購入してくる。駅舎は風は入ってくるのだが、日当たりが良いからか暑かったので、駅前広場の木陰の下にある、朽ちかけたベンチに座った。食べる度に体が中から冷やされていく感覚がたまらない。

かき氷

せっかく冷えた体が熱くならないように、ゆっくりとホームに向かい列車を待つ。やってきたのは8000系と呼ばれる、いかにも普通列車ですという外観をした車両だ。

車内は混雑しており、今回の旅で初の立ちん坊となった。長距離の乗車なら勘弁してよとなる所だが、すぐ下車するのでどうという事はなく、冷房の効いた車内はそれだけで快適だ。

伊豆多賀に入線する5639M

網代あじろ

  • 所在地 静岡県熱海市下多賀
  • 開業 1935年(昭和10年)3月30日
  • ホーム 1面2線
完乗状況の路線図
網代駅舎

両側をトンネルに挟まれたカーブ上にある駅で、狭い山間の土地になんとか駅を設置したという感じのする立地だ。ホームより駅舎の方が低い位置にあるので、ホームから地下道に降りて進むと、そのまま駅舎へと通じている。

無人駅ではあるが、最近までみどりの窓口があっただけの事はあり、利用者が多くてホームも待合室も賑わっていた。江戸時代から栄えた港町であり、かつては鮮魚輸送のための貨物ホームまであったらしい。

駅前に出ると商店街が伸びており「あじろ温泉」の文字が目を引く。海までは割りと平坦なようで、これまでの駅が山腹だったのに比べると、山裾の駅といった感じがする。

網代駅前

うすづき山で迷走

どこへ行こうか網代の名所を探すと、漁業の街だけあって干物が有名で、干物屋が立ち並ぶ干物銀座があるそうだ。しかし干物を食べるならともかく、眺めて歩いてもつまらなそうである。

そこで目をつけたのが、房総半島から網代湾まで一望できるという、高台にある朝日山公園だ。今日は駅から海側ばかり攻めていたので、次は山側に行ってみるのも変化があって良さそうではないか。

行き先が決まったら次はどうやって行くかだ。場所を調べると朝日山公園は、次の宇佐美駅との間に立ちふさがる、海側にせり出した山の上にある。この山を伊東線はトンネルで抜けているが、国道は海沿いにウネウネと進んでいるので、一旦国道に出て、適当な場所で山に上がっていけば良さそう。

という事でいざ出発!

まずは駅前の商店街から、海沿いを走る国道へと足を進める。街中は日陰が多く風もあるので、大して汗をかくこともなく快調に進んでゆく。徐々に左手から海が、右手から山が迫ってきて、前方には干物店が並ぶ一角が見えてくる。あれが例の干物銀座という奴だろうか、通ったついでに冷やかしていこうかと思っていると、右手の山へと上がっていく道路の脇に「朝日山公園」の標識が立っていた。

早々と標識まで整備されていて、意外とメジャーな場所なのだろうか。何にしても簡単にたどり着けそうなので、悠々と斜面に広がる住宅地の中を上っていく。さすがに上り坂ともなると、先程とは違って汗が噴き出してくる。

朝日山公園への道路

道路の分岐点には新しい標識が出ていて迷う事もない。ただ朝日山公園と並んで、うすづき山という標識も同じ方向を指していて、突然出てきたこの山は一体なんだろうか。そんな事を考えていると、標識が山中へと入っていく登山道のような道を指し示す場所に来た。

このまま舗装路を上っていけば到着する。そんなつもりで居たので、何だか予想外の展開になってきた。まあ予想外こそが適当旅の面白さでもあるのだが…。

うすづき山登り口

ここから先はひたすら細い登山道を登って行く事になる。入口付近は道端に潰れかけた小屋があったり、投棄された洗濯機が転がっていたりと、何だか薄気味悪さもあったが、まもなく木々に覆われたハイキングコースらしい道となった。

整備された登山道を、すぐ到着するだろうと足早に登っていく。しかし行けども行けども到着せず、10分ばかり進んで汗だくになった頃、ようやく開けた場所に出た。残念ながら朝日山公園ではなく、うすづき公園であったが…。

うすづき公園

うすづき公園は少しだけ開けた場所にあり、木々の隙間からはわずかながら海が見えている。木製のベンチが2つあるが、それ以外は大半の場所が伸びた草で覆われており、特に何があるという訳でもない。じっとしていると蚊に刺されそうな場所なので、一瞥すると再び朝日山公園へと向けて足を進めた。

登山道を進むと周囲は再び木々に覆われ、尾根伝いに緩い上り坂がどこまでも続いている。すぐ到着するのだからとペースも考えず、早足に登ってきたものだから、いよいよ足がキツくなってきた。おまけに蒸し暑いので息を切らしつつ、汗を流しつつで参ってしまう。

いつの間にか標識という物が姿を消してしまい、本当にこの道で正しいのか不安を覚えつつも先へ進む。すると急に舗装された道路へと出て、人里離れた場所だと思っていたが、周囲には住宅も点在していて「あれ?」という感じだ。

目の前には再び「朝日山公園」の標識が立っていて、道は正しいとわかりホッとする。しかし標識が山の上の方ではなく、下の方を指し示しており、延々登ってきたのは一体何だったのかという感じだ。

狭いながら舗装された道路を下って行くと、途中から2車線で歩道付きに変わった。道路からは海を望む事ができ、周囲の山中には住宅や大きな施設が立っていて、別荘地かリゾート地といった所だろうか。随分と整備されているが交通量は殆どなく、車には滅多に出会わなかった。

道路

急な下り坂という事もあり、早歩きで快調に下っていく。随分と無駄に高い所まで登ったものである。あまりに下り続けるから何かおかしいと感じつつも、暑さと疲労感の中で今更引き返す気にはなれず、道は正しいと信じて進んでゆく。

その結果、国道まで下りてきてしまった…。

網代では国道の近くから上り始めたから、うすづき山に登って降りて来ただけという笑えない状況である。暑さ・喉の渇き・足の疲れ。この状況下で、急坂を引き返しつつ正しいルートを探す気には到底なれない。うすづき山ハイキングが目的だった、そういう事にして国道から網代駅に戻る事にした。

とはいえこの国道が交通量が多く、進むのをためらってしまう。近くにはバス停もあったが都合よくバスなどある訳もなく、かといって引き返しての山越えは勘弁と、進みたくも戻りたくもなく、しばらく道端に立ちすくんでしまった。

国道

長谷寺ちょうこくじ

国道を網代駅に向けて歩き出すと、次から次へと車がやってきて、狭いながらも歩道が設けられているのが救いか。右手には海も見え隠れしているが、すぐ脇を大型車が走り抜けていくので、落ち着いて景色を眺めている状況ではなく、足早に先へ先へと進んでいく。

しばらくすると前方にトンネルが見えてきて、トンネルとか嫌だなと思っていると「網代長谷観音」なる石碑が現れる。どうやら左手に伸びる谷間にあるようで、気分転換と休憩がてら行ってみる事にした。ここから網代への近道があったり、水が飲める事も期待しつつ…。

国道から少し入った所で長谷寺の山門が現れた。長谷寺とは鎌倉と同じだなと思ったら、こっちは「はせでら」ではなく「ちょうこくじ」と読むようで、日本語は難しい。ちなみに広島県を走る三江線には、長谷と書いて「ながたに」と読む駅もあったりする。

竹林脇の長谷寺山門

人気のない静かな竹林の中を進むと、やがて赤い色が目を引く観音堂が現れる。周囲は何だか雑然としているというか、無造作に伸びた草木に侵食されてきているようだ。観音堂の前まで行ってみたが、扉が閉められており中を伺う事はできなかった。

長谷寺本堂

あまり国道に戻る気もしないので、ゆっくりと境内を見て回る。片隅には随分と歴史を感じさせる石仏が並んでおり、近くに立っている説明板を読むと「石造三十三所供養観音像」とある。江戸時代に網代が港として栄えた頃、観音信仰をする地元民により造立ぞうりゅうされたものだそう。山門や観音堂は新しそうで、そうは見えなかったが、かなり歴史のある寺のようだ。

三十三体観音像

さらに近くの高台に何かあるようなので行ってみると、小さな灯台や東海呑吐とうかいどんとの句碑が立っていた。何だか色々な物が並んでいる所である。

ここから山の中を上っていく小道が続いており、しかも電柱もそちらに向かって並んでいるのい目が留まる。これは街から寺へ至る電線だろうから、この小道を辿ってゆけば、網代にたどり着くのではないかと予想する。トンネルの待ち受ける国道には戻りたくないので、一か八か小道を進んでみる事にした。

すると数分も歩くと山中を走る舗装道路に出る、路面に落ち葉や苔があったり、殆ど車は通っていない様子だ。ふと脇に立つ標識に目をやると、そこには朝日山公園の文字があって驚いた。一緒に長谷観音の標識も出ており、登ってきた小道は長谷観音に至るハイキングコースにもなっているのだった。

朝日山公園

まさかこんな形で朝日山公園へのルートに戻るとは、思いがけない展開である。こうなったら行くしかないだろうと、再び朝日山公園を目指して足を進める。

朝日山公園へ向かう道路

また坂道続きではあったが、近くがゴールとわかっているだけあり、クタクタになりつつも足取り軽く登っていく。そして数分もすると開けた場所に出て、朝日山公園に到着だ。

広い範囲が膝くらいの高さまである草に覆われていて、何だか荒れた印象も受けるが、時期的にこまめに草刈りをしないとこうなるのは仕方がないだろう。周辺には公園らしく休憩所や水飲み場が設置してあり、片隅には小さな祠も見える。

さて、まずは海を眺め…。

といきたい所だが、喉がカラカラなので水飲み場へと向かう。もっともこういう山中の公園にある水飲み場というのは、大抵水が止めてあって残念な思いをする事になる。そして出ないだろうなと蛇口をひねると、意外にも冷たい水が勢い良く出てきて、これには大いに助けられた。

朝日山公園

水をがぶ飲みして落ち着いた所で、改めて海を眺めに向かう。伸びた草を足でかき分けながら公園の海側、斜面ギリギリまでやってくると、青々とした海面を遠くまで見渡す事ができた。漁船だろうか、小さな船がポツポツと浮かんでいる姿や、沖合に浮かぶ小さな島も見える。公園の名前通り、朝日が昇る所を眺めたら美しそうな所だ。

朝日山公園からの眺め

ちょっと残念なのは、木々が生い茂っていて開けた場所が少なく、視界いっぱいに海が広がるという感じではない所か。とはいえ苦労して辿り着いた所だけに、美しさもひとしおである。

休憩所の屋根を支える柱に「富士山が見えるよ!!」と書かれた板が取り付けられている。それは見なければと、矢印の方向へ行ってみたがよくわからなかった…。最後に若松神社と書かれた祠に行き、参拝をしてから公園を後にした。

帰りは公園を出る所から、「網代駅」という標識がこまめに出ており、迷うような事はなかった。公園から下る小道も、手すりまで付いた整備された道で、下り坂という事もあり足取りは軽い。

朝日山公園からの帰り道

やがて荒れたプールの脇へと出てきて、どうやら廃校のようである。学校があったという事は、街はもう近いという事だ。それに学校までの道のりというのは、整備されて歩行者に優しい作りになっているものなので、すっかり気分にも余裕が出てきた。

思った通りここから先は舗装道路に戻り、周囲にも住宅が現れ始める。狭いながら整備された坂道を、海を目指し小走りに下っていく。

住宅地の下り坂

坂道を下りきった場所は国道で、ちょうどトンネルの出口だった。結果的に長谷寺に向かった事でトンネルを回避し、さらに朝日山公園まで行けたのだから、あれはナイスな判断だった。

先程はもっと駅よりの所から山に向かったので、視界には入りつつも通れなかった干物店の前も通る。美味しそうな干物が目に留まるが、車ならともかく、持ち歩く気にはなれないので眺めるだけだ。

結局2時間ばかり歩きまわって網代駅に帰ってきた。気分的には4,5時間くらい歩いたつもりだったが、以外と2時間で歩き回れるものである。

駅舎の待合室は相変わらず人が多いので、ホームに上がって列車を待つ。ホーム上は海からのいい風が吹いてきて心地よく、通過する特急「踊り子」を眺めたりして過ごす。やがてやってきた列車は2回目となるアルファリゾート21で、伊豆急下田行きの普通5647Mだ。

網代駅に入線する5647M 伊豆急下田行き

伊東線の列車はどれも混雑しているが、網代では下車が多かったおかげもあり、中間車の海側を向いた座席に座れた。これでリゾート21の座席は一通り座った訳だが、1人で座るなら展望席が一番良かったかな。

海側席からの車窓

宇佐美うさみ

  • 所在地 静岡県伊東市宇佐美
  • 開業 1938年(昭和13年)12月15日
  • ホーム 2面2線
完乗状況の路線図
宇佐美駅舎

長らく山沿いの駅が続いたが、ようやく平地に下りてきたようで、周囲を住宅に囲まれた駅となった。ここまでの4駅は地下道で結ばれていた駅舎とホームが、ここでは跨線橋に変わったのも平地だからだろうか。

例によって改装されて間がない無人駅で、駅舎の内外共に美しい状態だ。色使いや駅名板のデザインも、ここまでの駅と同じで、お馴染みのものになっている。出入口のスロープや跨線橋も新しく、無人化されて荒れたり取り壊されたりではなく、むしろ美しく整備されているのが面白い。

宇佐美海水浴場

すぐ近くが海水浴場になっているので行ってみる。本日3回目となる海水浴場で「またか」という感じだが、他に面白そうな所も見当たらないのだから仕方がない。

駅から海までは、真っ直ぐに伸びたゆるい下り坂となっている。道の両側には商店が並んでおり、狭いながらアーケード付きの歩道が整備されていた。シャッター街のような感じで閑散としはいるが、所々に浮き輪や花火等を並べた店が営業しており、いかにも海の近くといった雰囲気がする。

宇佐美駅前の商店街

駅前通りを数分も歩けばもう海沿いの国道に出る。道路を横断した所には小さな海の家があり、その後ろには大きく弧を描いた砂浜が広がっていた。

宇佐美海水浴場

相変わらずの暑さだが、風があるせいだろうか割りと過ごしやすい。砂浜に降りて波打ち際まで行ってみると、砂浜の勾配が緩いのか波が高いのか、砂浜の広い範囲に波が広がってくる。周囲も人が少ないせいか全体に落ち着いた雰囲気で、今日行った海水浴場では一番居心地が良かった。

宇佐美海水浴場

しかし海水浴をしない海水浴場というのは、居場所がないようなものでもある。歩きまわっていると靴の中が砂だらけになるし、座って休もうにも砂の上は熱く、日差しは強烈だ。それに座ったりしたら、ズボンからバッグまで砂だらけである。海の家なら休めるが金がかかる…。

一通り右往左往した所で駅に戻ると、タイミング良く10分程で列車がやってきた。これまでの駅に比べると坂道がないせいだろうか、何だか特に疲れもせず、あっさり感のある宇佐美駅だった。

宇佐美駅に入線する5649M

伊東いとう

  • 所在地 静岡県伊東市湯川三丁目
  • 開業 1938年(昭和13年)12月15日
  • ホーム 2面3線
完乗状況の路線図

ito-eki

いよいよ伊東線の終点であり、本日最後の駅でもある伊東にやってきた。熱海以来の有人駅だけあり、利用者が多くて駅周辺はごった返している。駅前にはタクシーやバス、それに送迎の人たちが並び、観光地の玄関口といった面持ちである。

駅構内は人並みに流されるように駅から出てしまい、立ち食いそばや、駅弁が販売されていた事くらいしか印象に残っていない。ホームと駅舎を結んでいたのが、跨線橋だったか地下道だったかすら覚えてない位だ。

駅舎の方は特に小洒落たデザインにはなっておらず、昔ながらの地方の中核駅といった感じだが、それがまたいいのである。

東海館とうかいかん

疲れてきて遠出をする気にもなれないので、市内をぶらぶらと散策して歩く。駅前から伸びる、狭くゴチャゴチャとした商店街を通り抜け、近くを流れる松川という川までくる。川の両岸には緑が多く、さらにその周囲を旅館やホテルが取り囲むという、温泉街らしい景色が広がっていた。

橋を渡り川沿いの遊歩道を下流側へと歩いていると、対岸にひときわ風情のある木造3階建ての大きな建物が現れた。これが有名な元温泉旅館の「東海館」で、周囲に新しい建物が並ぶ中で、ここだけ時が止まったかのようだ。

松川沿いから眺める東海館

今は旅館ではなく観光施設になっているそうなので、中を見学してみようと建物の表に向かう。昭和初期に建てられた三階建ての大きな木造建築は、壁面から欄干まで木製で、玄関部分は唐破風からはふと実に趣のある建物だ。せっかくの建物だが表の通りが狭くて、全体を見渡しにくいのは残念な所である。

東海館玄関

戸を開けて玄関に入ると、冷房が効いているのか涼しい。入ってすぐ左手が受付になっており、ここで入館料を支払う。そして撮影の方は〜っと聞こうと思ったら、「カメラをお持ちでしたら、撮影はご自由にどうぞ」と先回り案内されてしまった。こういった施設で先に言われたのは初めてで、中々と気が利いている。

まずは靴をスリッパに履き替えて、1階から見て回る。この階には大浴場があり、土日祝日であれば入浴可能なのだが、この日は平日だったのが残念。

奥には当時のままに残された客室が並び、中に足を踏み入れると、イメージにある昭和の温泉旅館そのものである。つたの間、桔梗ききょうの間、らんの間と、順番に部屋を回っていくと、それぞれ部屋の造りが違っているという凝りようである。

客室

2階には客室と同時に展示物といった物も多い。「伊東線開通物語」なるコーナーもあり、伊東線絡みの資料があれこれと展示してあった。

お客は少なく各階に1組程度しか居ない位なので、こういった展示もゆっくりと見て回る事ができる。

伊東線開通物語のポスター

最初に建物に入った時は涼しい感じがしたが、他の場所はそんな事はなく窓が開け放たれて自然換気である。とはいえ自然の風が吹き抜けていく所が、かえって昭和な雰囲気を増大させている。

3階までくると客室の縁側から、すぐ下を流れる松川がよく見える。この階には、かつて120畳敷きだったという大広間があり、ひょいと入ると、奥には宴会を再現した人形が置いてあり、一瞬ドキッとした。

tokaikan

最後に3階の上に設置された望楼ぼうろうに上がってみる。ここは床の保護のためとかで、望楼専用のスリッパに履き替えてから、狭い階段を上がっていく。望楼内部は板張りとなっており、4方向に設けられた窓からは、伊東の街越しに海から山まで望む事ができた。

さすが最上階だけあって暑い場所だが、窓が開け放たれているおかげで、いい風が通り抜けていく。ただ座るような所もなく長居はしにくいので、一通りの景色を眺めたら下に降りた。

望楼からの眺め

時計を見るともう16時で、ちょっと覗いてみる程度で入ったが、想像以上に見応えのある建物ですっかり長居をしてしまった。

子持ち湯

今日は快晴の暑い中を、海へ山へと歩き通しの結果、疲労と汗でどうにも気持ち悪い事になっている。せっかく温泉地なのだから、ひとっ風呂浴びていこうと思い、駅の近くに見つけた子持ち湯という所に行ってみた。

入り口はビルの一角にある、狭い地下へと降りる階段で、この怪しげな雰囲気が実に良い。階段を降りた所には、男湯と女湯の戸が並んでおり、ガラガラっと開けて中に入ると、内部は昭和の銭湯といった面持ちだ。

子持ち湯の入り口

番台のおばちゃんに250円(安い!)を渡し脱衣所に向かうと、鍵の壊れた木製ロッカーが並んでいる。この昭和感がたまらなく良い。番台の前には観光客向けなのか、大きなロッカーがあり、こちらは番台で鍵を借りて使用するので荷物が多くても安心だ。

浴室に入ると先客はおらず貸切りで、源泉掛け流しという、たたみ2,3枚程度の小さな浴槽がある。湯加減の方はちょうどよく最高に気持ちいい、わずか250円でこの温泉を貸切りとか最高だ。ゆったりお湯に浸かっていると、1日の疲れが抜けていくようだ…。

サッパリとして所で駅に戻り、火照った体を自販機の飲み物で冷やす。周囲は相変わらず人通りが多くごった返していた。

ふと、今日はまともに食事をしていない事を思い出す。到着した時に見かけた立ち食いそばでも食べるか、それとも駅弁を買って食べながら帰ろうか。そんな事を考えつつ帰りの列車の時刻を確認すると、もう発車時刻が迫っているではないか。こうなると飯どころではなく、急いでホームへと向かった。

最後の列車は熱海行きの普通5660Mで、既にホームで発車の時を待っていた。車両は本日4回目となるリゾート21だ。思えば今日乗った車両は全て伊豆急行の車両で、もはやJRの伊東線というより、伊豆急行の伊東線といった感じがする。

伊東駅ホームの5560M

エピローグ

完乗状況の路線図

いよいよ伊東線の完乗も残りわずかとなり、上り線の乗車と熱海駅の下車を残すだけとなった。最後の列車となるこの列車は、熱海までゆっくり乗っていられるので、前面展望に海の景色も楽しめる、先頭車両の展望席右側に陣取った。車内も比較的空いており静かで、やっとでゆっくりとした鉄道旅が楽しめそうだ。

展望席からの眺め

16時48分、列車が伊東駅を出発すると、前を見たり横を見たり、さらには撮影をしたりと忙しい。景色を堪能できる席であるはずが、景色が良いばかりに、ゆっくり眺める間もなく熱海に到着してしまい、景色の印象はまるで残っていないのであった(笑)

夕方の熱海駅舎

およそ12時間ぶりに熱海駅の改札を出て、伊東線の完乗を達成。こうして終始暑さに悩まされたが、それ以上に予想外の出来事に楽しませてもらった、そんな1日が終わった。

(2016/08/04)

コメント

  1. 0173 より:

    伊東線 全線全駅完乗の旅を度々拝見させていただいています。
    コメントは今回初めてですが、何度見ても取材力に感動しています。
    神奈川県の横浜市から移り住み10数年、すっかり伊豆の人間になっていたと思いましたが
    まだまだ発見は多くありそうです。
    また遊びに来ます。

    • Tokuvin より:

      0173さん、こんばんは。
      気の向くままに歩いている私の旅ですが何かのお役に立てれば幸いです。
      伊東線は短い区間で海と山と街とが楽しめる良い路線でした。この日は1日で全駅に降り立とうと少々慌ただしかったので、涼しい季節にまた訪れたいと思っています。同時に伊東から先へ伊豆急行線の旅も考えているので、また近いうちにお邪魔するかもしれません。

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