山陰本線 全線全駅完乗の旅 3日目(嵯峨嵐山〜亀岡)

山陰本線の旅3日目 旅行記&乗車記の地図

目次

プロローグ

今回の乗車記・旅行記の路線図

2016年10月22日、半年ぶりとなる山陰本線の旅をすべく京都駅にやってきた。朝から相変わらずの人の多さだ。駅前にあるいつものコインロッカーに荷物を預けると、雑踏から逃げるように山陰本線ホームに向かった。

京都駅中央口
京都駅中央口

目的のホームは駅舎の脇にあるので、改札を抜けると駅舎伝いに長い通路を進んでいく。そこへタイミング悪く列車が到着したものだから、列車から吐き出されてきた乗客で通路は埋め尽くされ前に進むどころではない。柱の陰で落ち着くまでやり過ごすが、山陰本線に乗る時はいつもこんな調子で参ってしまう。

まずは保津峡に向かうべく園部行きの普通列車229Mに乗車する。概ね座席は埋まっていたが先頭車両に何とか座席を確保して出発。

園部行き229M
園部行き229M

京都を後にするとすぐに京都鉄道博物館が車窓を横切り、あとは嵐山へと向けて市街地の中を進んでいく。そして嵐山を過ぎれば車内は空席が目立ちはじめ、車窓も京都盆地が終わり長いトンネルの連続する山深い景色に一変する。

このあたりは保津川(桂川)の渓谷沿いを走る風光明媚な区間だったが、平成元年に複線電化のためトンネルと橋梁が連続する新線に切り替わり、車窓は暗闇が大半となってしまった。そして廃止された単線非電化の旧線は、嵯峨野観光鉄道となり今ではトロッコ列車がのんびりと走っている。

やがて減速しつつトンネルを抜けると保津峡だ。

保津峡ほづきょう

  • 所在地 京都府亀岡市保津町保津山
  • 開業 昭和4年8月17日
完乗状況の路線図
保津峡駅舎
保津峡駅舎

この駅は保津川をひと跨ぎにする大きなアーチ橋の上にホームがあり、両側をトンネルに挟まれるという力技で設置したような場所にある。さすがに昭和4年の開業当時からこんな近代的な場所にある訳もなく、ここは平成元年に開業した新線上で、以前は違う場所にあった。

列車を降りると山間の早朝らしくヒンヤリ澄んだ空気が清々しい。ホームは高い橋梁上にあるだけに、視界には緑あふれる山々と保津峡の渓谷美が広がり、川べりには旧線の線路がちらりと見える。降り立ったその場から絶景とはなんと贅沢なホーム。

駅周辺は生活感がないどころか家の一軒すら見当たらず、あのごった返す京都駅から20分程度とは思えない変わりよう。なぜこんな所に駅があるのかと思うような立地である。

トンネルに挟まれた橋梁上のホーム
トンネルに挟まれた橋梁上のホーム
ホームから保津峡を一望
ホームから保津峡を一望

ホームは橋梁上にあるが駅舎はちゃんと地に足をつけており、亀岡寄りのトンネル脇に小さな山小屋のような駅舎がある。降り立った下り線ホームからは線路を挟んだ反対側なので、ホーム端から山伝いに橋梁下をくぐって駅舎に向かう。

やってきた駅舎にはバスの待合所かと思うような、吹きさらしの小さな待合室がある。片隅には券売機と作り付けのベンチがあり、窓口でもあったのかそれらしいスペースも。そして狭い待合室でひときわ存在感を放っているのが自動改札機で、待合室の半分くらいのスペースを占有してそう。

休むほどの場所もないので素通りに駅前に出ようとすると、駅舎の脇で落ち葉掃きをしていたおっちゃんに呼び止められた。えっ何だろうと思ったら切符を拝見ということで、掃除のおっちゃんだとばかり思っていたが駅員だったのか…。

とかく狭い待合室
とかく狭い待合室

駅前には小さなロータリーがあり通勤利用者なのか数台の車が止まる他は、観光案内板と近くにある水尾集落へと向かうバスのバス停があるだけだ。バスは祝日・お盆・年末年始に運休するあたり観光用というよりは地元住民用という感じかな。

見渡す限りの山と渓谷だがいったい何があるのかと観光案内板を見ると、やはり駅の周囲には山しかない。一番の観光スポットといえる場所が、歴史と柚子の里という水尾集落で、お寺や神社もあり魅力的。だが徒歩1時間の文字がちょっと悩ましい。

片隅にこの付近の複線電化工事についての説明もあり、大型車両の入ってこれないこのあたりのトンネルや橋梁の建設には、150人乗りに匹敵する大型のロープウェイを設置して、全ての材料や機械を搬入したそう。トンネルを掘った土砂もロープウェイで運び出したそうで、今は撤去されて跡形もないが、そんな大きなロープウェイはちょっと見てみたいものだ。

駅前から眺める橋梁上ホーム
駅前から眺める橋梁上ホーム

山奥の秘境駅のような場所だが京都の目と鼻の先だけあって、駅前をぶらぶらしている間にも次々と列車がやってくる。そしてそのたびに鮮やかな服装にリュック姿という、ひと目見てそれとわかる中高年ハイカーが数人降りてくる。

トロッコ保津峡駅

さてどこへ行くかだが、駅からは一本道で周囲には立ち寄る場所もなく、好むと好まざると目の前を伸びる道路を進むしかない。

意外と広い2車線の道路をハイカーに混じり進むと、保津川支流の水尾川にかかる赤いトラス橋が見えてくる。保津峡橋という名前で、よくみかける三角形ではなく四角形を組み合わせた面白い形をしている。橋のたもとにある説明板を読むと、府道と駅を結ぶために設置された橋で、フィーレンディール桁という日本では珍しい構造をしているそう。

いかにも清流を連想させるいい音が聞こえるので、橋の上から下を覗き込むが木々に覆われて流れはまるで見えない。橋の大きさの割に小さな流れらしい。

面白い形の保津峡橋
面白い形の保津峡橋

ここで道は二手に分かれており、左に行けば水尾川をさかのぼり水尾集落へ、右に行けば保津川を下ってトロッコ保津峡駅(旧保津峡駅)に至る。ここは水尾に行ってみたい所だが所要時間が1時間だと往復で2時間、さらに現地での滞在時間を考えると厳しいところ。それに長距離を歩く格好で来ていないのも痛い。かたやトロッコ保津峡駅は徒歩15分と程よい距離なのでこっちに決めた。

あれこれ考えつつ橋や標識を眺めてゆっくりしていると、新たに列車でやってきたハイカーが次々と追い抜いていく。どこへ行くんだろうかと後ろ姿を見ていると、みな決まって水尾の方へと向かっていく。

三叉路に立つ標識
三叉路に立つ標識

交通量の割に随分立派な道路だと思ったが、ここから先は細々とした崖っぷちの道路に一変する。車のすれ違いさえ大変そうな狭さで上下左右に曲がりくねり、ガードレール越しに下を覗き込めばゾクゾクっとするような急斜面。木々の隙間からは、はるか下を流れる保津川の川面が見え隠れしていた。

崖っぷちを走る道路
崖っぷちを走る道路

聞こえてくるのは轟々と流れる川の音だけで、たまに列車の音が混ざってくる。

途中にはトンネルまであり、こう狭くて見通しの悪いところが続くと車がいきなり現れないか心配になる。幸いにしてすれ違うのは自転車ばかりで、それすらも滅多に通らないという道だったのは助かった。

風情ある小さなトンネル
風情ある小さなトンネル

こうして秘境感あふれる道路を30分ほど歩くと、保津川を挟んだ対岸に嵯峨野観光鉄道のトロッコ保津峡駅が見えてくる。ここが昭和4年から平成元年までの長きにわたり山陰本線の保津峡駅だったところ。現在の保津峡駅に負けず劣らず周辺には人家など何も見当たらない。

入口に立つ案内板
入口に立つ案内板

こちら側の道路とは鵜飼うこう橋という名のつり橋で結ばれ、そのたもとには適当にトタンや木材を組み合わせたかのような雑然とした建物がある。近くの案内板によると茶店だそうだが、まだ営業はしておらず売り場は板とチェーンでしっかり閉められ、薄暗いこともあって何だか陰気な雰囲気である。

そんな茶店を横目につり橋に足を踏み入れる。足元は木製だがそれ以外は鋼製のしっかりした作りで、高さも大したことはないので恐怖感などなく快適なもの。橋の上からは保津川の流れが視界に広がるが、低いせいか先ほどの保津峡駅ホームの方が雄大だった気もする。

鵜飼橋とトロッコ保津峡駅
鵜飼橋とトロッコ保津峡駅

ここは一般の列車が走っている訳ではないので、始発のトロッコ列車すら到着していない今の時間では当然の如く誰もいない。きっとトロッコ列車がやってきた時には賑わうのだろう。観光用の駅らしく有料双眼鏡があったりホーム上には置物などが並ぶが、それだけに川の音だけが響く人気のなさが寂しく感じる。

渓谷沿いのトロッコ保津峡駅
渓谷沿いのトロッコ保津峡駅
ホームに並ぶたぬき
ホームに並ぶたぬき

構内をひと通り歩いたところでJRの駅に引き返す。この先さらに進めば嵐山にも行けるようだが、そこまで行っていると日が暮れそうなのでここまでだ。帰りは寄り道をしなかったこともあり20分ほどで到着した。

駅には相変わらずハイカーの姿があり、駅前で落ち葉掃除をする作業員の姿もあり賑やか。

ホームで10分ほど待つと亀岡行きの普通列車1229Mがやってきた。ここは時刻表を確認するまでもないほど頻繁にやってくるのでありがたい。車内の方も通勤時間が終わったからか一段と空いている。

亀岡行き1229M
亀岡行き1229M

発車するとすぐにトンネルに入り、出たと思えばまたトンネル、という具合にトンネルが連続する。しかしその合間に一瞬見える保津峡の渓谷美はとても美しく、保津川下りの船から手を振る人の姿もちらりと見えた。そして最後のトンネルを抜けると景色はガラリと変わり、広々とした亀岡盆地に出た。

馬堀うまほり

  • 所在地 京都府亀岡市篠町馬堀六ノ坪
  • 開業 昭和10年7月20日
完乗状況の路線図
観光客で賑わう馬堀駅舎
観光客で賑わう馬堀駅舎

先ほどの山深い保津峡は夢か幻かと思うほどに周辺は明るく開けており、駅前には駐車場を挟んで住宅地が、駅裏には田畑がどこまでも続く。トンネルの連続する新線区間はここで終わりだが、この駅も少しだけ場所を移動しており、旧線時代は現在駅前にある駐車場のあたりが駅だった。

これだけ住宅地が広がるところは地元利用者が多そうだが、いざ降りてみると観光客の多さに圧倒される。リュックを背負った中高年や外国人が続々とやってくる。

構内は2面2線とシンプル
構内は2面2線とシンプル

観光客が多い割に駅自体に観光色はなく、まだ新しい相対式ホームがあるだけの構内は、新興住宅地の新設駅といった風情。開業は昭和10年と結構歴史はあるが、平成元年に移転したことや複線化工事などもあり、そういった歴史はまるで感じさせない。

有人駅で自動改札機に加えみどりの窓口まであるが、駅舎は意外と小さく待合室はあってないようなもの。乗車する人はホームにあふれ、下車した人は駅前にあふれていた。

混み合う駅舎
混み合う駅舎

駅前では「うまほりハロウィン」なる、地元商店街が主催するハロウィンイベントが開催されており、出店が並び美味しそうな料理やスイーツ、それに丹波らしく黒豆の販売などもされている。こちらは通りかかった観光客に加えて地元住民も続々とやってくるから、駅よりさらにごった返していた。

駅周辺には出店が並ぶ
駅周辺には出店が並ぶ

桑田神社

周辺に広がる平地はひたすら新興住宅地といった感じで住宅が整然と建ち並び、ここを歩いても見どころはなさそう。一方で保津峡と盆地の境界ともいえる山沿いの辺りは古くからの集落という感じで、そこにある桑田神社を目指すことにした。

10分ほど歩くと鵜ノ川という小さな川が横切り、すぐ下流で山陰本線の下をくぐり保津川(桂川)へと注ぐ。このあたりは山陰本線の新線と旧線が分かれていく場所で、両方の線路が仲良く並ぶ姿や、嵯峨野観光鉄道の終点であるトロッコ亀岡駅を見て取れる。

新市街と旧市街の境界のような川でここで新興住宅地は終わり、この先は曲がりくねった道沿いに塀のある大きな家や蔵、それに神社仏閣なども点在する。人通りは少なくなり随分と落ち着いた雰囲気に変わった。

山沿いには風情ある景色が残る
山沿いには風情ある景色が残る

桑田神社は結構有名なのか大きな看板まで出ていたので迷うことなく到着。まずは鳥居の脇にある手水舎に立ち寄ると、水口が定番の龍などではなく「なまず」なのが面白い。柱にはなまずの滝なる文字まである。なまずと関係の深い神社らしく案内板や参道に立つのぼりにも、なまずの絵が見られる。

手水舎や鳥居の観察をしていると自転車に乗った親子連れがやってきて挨拶を交わす。少し話をすると明日はこの神社の祭りで子供神輿などがあるそう。少しだけ訪れるタイミングが悪かったか。

桑田神社
桑田神社
手水舎のなまずが目を引く
手水舎のなまずが目を引く

鳥居をくぐり山の中腹にある拝殿へと向けて石段を上がっていく。真新しいステンレスの手すりがちょっと馴染まないが、それ以外はとてもよい雰囲気を漂わせた神社だ。境内では例の祭りの準備なのかあちこちで作業をする人の姿があった。

紅葉の時期にくれば美しいだろうと想像させる紅葉樹の隙間からは、トロッコ亀岡駅に停車するトロッコ列車の姿が見え隠れしている。次は目と鼻の先にあることだし、あそこへ行ってみることにする。

トロッコ亀岡駅

再び鵜ノ川を渡りやってきたトロッコ亀岡駅はトロッコ列車の乗降のみならず、レンタサイクルから路線バス、保津川下りの乗船場まで運んでくれる馬車乗り場まであり、色々な乗り物を結ぶ要衝のような場所だ。そんなこともあってか大勢の観光客で賑わっている。

とりわけ人気を集めていたのが馬車や乗馬体験用の馬がつながれた一角で、馬を取り囲むように観光客が並び外国人の姿も多い。そんな彼らに混じって撫でてみるが実におとなしく、周りではしゃぐ観光客を尻目に我関せずといった表情でまったりしている。

オランダ生まれの馬
オランダ生まれの馬

トロッコに乗車する訳ではないが、せっかくなのでトロッコ亀岡駅にも立ち寄る。近くの馬堀駅とは段違いに大きな3階建ての駅舎で、中には土産物店や軽食コーナーも同居する。店内はまだ10時台と時間が早いせいか空いていて、ここで食事にするのもいいかなと思った。

トロッコ亀岡駅舎
トロッコ亀岡駅舎

線路は築堤上の小高い所にあるため、地平に立つ駅舎はその3階部分にコンコースやホームがある面白い構造だ。色々なお店を横目に2階3階と上がっていき、やってきた3階には窓口や改札がありJRの駅にやってきたかのような雰囲気がする。次のトロッコ列車には空席があり指定席券を販売中で、ちょっと食指が動くが今は馬堀を観光中なので我慢我慢。

すぐ脇にある売店には土産物類があれこれ並ぶが、その中に生八ツ橋コーラなるちょっと怪しげかつ珍しいコーラがあったので購入して駅を後にした。

ここにも並ぶたぬき
ここにも並ぶたぬき

保津川下り乗船場へと行き来する馬車を横目に、近くを流れる保津川までやってくる。河川敷ではバーベキューが盛り上がっており、風に乗っていい香りが漂っていた。

ここから上流を見ると平地が広がるが、下流を見ると両岸に山が迫った渓谷と、見るからに盆地の終端という感じ。景色が一変するとはまさにこのことを言うのだろう。その渓谷左岸には請田うけた神社の大きな石垣や赤い塀が見え、右岸にはトロッコ列車の走る山陰本線の旧線が伸びている。近くに橋がないのですぐ対岸にある神社に行けないのが残念。

狭い渓谷へと水が吸い込まれていくような保津川の流れを見ていると、次から次へと保津川下りの船が目の前を通過していく。船の上からは大勢の人が手を振って楽しそう。ここはトロッコ列車と合わせてじっくり1日遊びたいところだ。

請田神社と旧線の間を下ってゆく
請田神社と旧線の間を下ってゆく

頻繁にやってくる川下りの船を眺めつつ、先ほどの生八ツ橋コーラを開封。するとその瞬間かすかに八ツ橋の香りがして、いったいどんな味だろうかと恐る恐る口に含むと、意外にも味は普通のコーラであった。なんだ単なるコーラかと思いきや、後口には確かに八ツ橋の風味が残る。なんとも不思議な飲み物だ。

ネタとしては面白いが、250円払ってもう一度飲むかと言われれば微妙なところである。

生八ツ橋コーラ
生八ツ橋コーラ

こうして馬堀駅に戻ってくると、駅前のハロウィンイベントは出店に加えてミニライブまで始まり、前にも増してどんちゃん騒ぎになっていた。せっかくなのでイベント会場を一巡してから次の亀岡へ向け、園部行きの243Mに乗り込んだ。

園部行き243M
園部行き243M

馬堀を出発すると平地はますます広くなり、のどかな田園地帯といった中を進んでいく。

亀岡かめおか

  • 所在地 京都府亀岡市追分町谷筋
  • 開業 明治32年8月15日
完乗状況の路線図
亀岡駅舎
亀岡駅舎

亀岡駅は明治32年の開業と100年をゆうに超える歴史を持った駅だ。また亀岡は丹波国の中心地でもあり、明智光秀の居城であった亀山城が徒歩数分という距離にあるなど、駅だけでなく街の方も長い歴史をもっている。ちなみに地名の方も元々は城と同じ亀山で、明治に入ってから三重県の亀山と紛らわしいと亀岡に改称したそう。

ただ列車を降りるとどこを見ても近代的な作りで、とても明治からの歴史があるようには見えない。駅の裏手には造成中の広大な空き地が広がり、そんな中に橋上駅舎という近代的な装いの駅舎があるから、先ほどの馬堀駅と同じで最近開業した駅のようだ。

それというのも複線電化に絡み大きく作り変えられたのに加え、街の方も元々の城下町は城跡を挟んだ反対側で、このあたりは農地が広がっていたという事があるのだろう。

近代的な駅構内
近代的な駅構内

ホームからはエスカレーターで橋上駅舎に上がる。自動改札機の並ぶ改札を抜けると「のどかめロード」と名付けられた駅の南北を結ぶ広々とした通路が延び、その通路沿いにみどりの窓口や観光案内所が並ぶ。

近代的なだけに冷ややかさも感じる通路だが、改札正面に位置する場所にはたくさんの提灯が並び、そんな空気を緩和していた。これは明日から開催されるという亀岡祭りに合わせて設置されているそうで、桑田神社の祭りも明日だったし何ともタイミングが悪い。

広い自由通路と改札周辺
広い自由通路と改札周辺
改札正面に並ぶ提灯
改札正面に並ぶ提灯

この自由通路の北側には展望デッキが設けられていて、駅裏に広がる広大な土地を見渡すことができる。駅前のこんないい場所が空き地とはもったいないが、ここにサッカーやラグビーなどを行う球技場、京都スタジアムが建設されるという。そんなこともあってか駅前の片隅には大きなサッカーボールのモニュメントが設置されていた。

空き地が広がる北口
空き地が広がる北口

ついでに観光案内所に立ち寄ってパンフレットをあれこれ見て回る。何か面白いものがないかと探すが近場では食べ物の紹介ばかり。駅周辺にはこれといった見どころはなさそうで、どうしたものか困ってしまう。

南郷公園

とりあえず駅の南口に出るとこちらは北口とは打って変わって賑やか。バス乗り場やタクシー乗り場も整備され、送迎の車も頻繁にやってくる。

まずは目の前に見えている亀山城跡に向かう。ここには外堀に接するように南郷公園が整備されており、間伐材を利用したという遊歩道が伸びている。園内には亀山城天守家棟にあったという鯱瓦を再現したブロンズ像や、亀山城跡の石碑など城跡を偲ばせる物も点在する。

大きな堀を挟んで緑に覆われた城跡が広がり遠目には美しい。ただ近づいてみるといたるところにゴミが浮いているのが残念。そして堀といっても雑水ぞうず川という川なので、雨の影響を受けてか茶色く濁っていた。

外掘り沿いの南郷公園
外掘り沿いの南郷公園

遊歩道を歩いていると竹で水面をつついたり、大きな鉤爪の付いたロープを投げ込んでいるおっちゃんが居る。いったい何をしているのか興味を惹かれて尋ねると、ヒシを取っているとかなんとか。何のために取っているのかさらなる疑問も湧いてくるが、忙しそうなので邪魔をしないように眺めるだけにしておく。

さらに奥に進むと釣りをする少年の姿もあり、駅とは目と鼻の先にあるが人通りも少なく随分とのどかな公園である。

南郷公園で釣りをする少年

通りかかった人たちがアメンボウだと話していたので水面を見ると、たしかに小さな波紋がたくさん広がっている。それは堀の全体に広がり、これはまたえらい大群がいるもんだなあと思いきや、何の事はない雨が降りはじめただけではないか…。

遊歩道は短くあっという間に終わってしまう。堀の向こうに見える城跡は宗教団体の敷地になっているが見学も可能だそう。行こうかどうしようかと迷ったが雨もパラつくので早々と駅に引き返した。

駅前まで戻ってくると「ますや」という食堂に目が止まり、ちょうど昼だし雨宿りも兼ねて飯にしようというわけで入店。安くて美味いの定番ともいえる唐揚げ定食850円を注文、店も食事も昔ながらという感じだった。

駅前食堂の唐揚げ定食

雨は大したことはなく上がってしまい時刻はまだ14時前と早い。こうなると次の並川に行こうかどうしようか悩ましい。できるだけ名の知れた駅までにするのが切りが良いので、並川とか地元の人しか知らなさそうな駅で旅を終えるのは微妙。かといって園部は5駅も先だ。

考えた結果今回は亀岡までにしておくのが切りが良いだろうと、京都行きの普通列車252Mに乗り込んだ。

京都行き252M
京都行き252M

ここまで嵯峨嵐山から先は割りと空いていたので余裕で座れるだろう。そんな予想に反して園部発の列車は到着時からかなりの乗車率。さらにここ亀岡からの乗客が加わったことで、発車の時点で概ね満席といった状態だ。辛うじて通路側の座席を確保した。

エピローグ

完乗状況の路線図

亀岡盆地を後にすると再びトンネルの連続する保津峡を通り抜け、半日ぶりに京都盆地へと帰ってくる。ここからはひと駅進むごとにどんどん乗客が増えていく。京都のひとつ手前、丹波口駅などは強引に車内に押し込んだような感じだった。

京都駅に到着した252M
京都駅に到着した252M

そして到着した京都駅32番線は一気に列車から吐き出された乗客で、今朝の状況を彷彿とさせるような大混雑で参ってしまう…。

(2016/10/22)

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