目次
プロローグ
2016年4月8日、2日目となる山陰本線の旅は前回到達駅の円町から先に進む。午前中に造幣局の桜の通り抜けに行っていた関係で出発は午後からとなってしまった。
京都駅に到着すると例によって混雑する山陰本線のホームに向かい、12時37分発の園部行きに乗り込んだ。隣のホームからは東舞鶴・豊岡行きの、はしだて5号が発車していく所だった。昼時という事もあって、あそこでゆっくり駅弁でも食べたいなぁと羨ましくも見える。
京都を出発すると高架線に駆け上がり、京都市街を見下ろしながら10分も進むと、円町の隣り花園に到着した。
花園
- 所在地 京都市右京区花園寺ノ内町
- 開業 1898年(明治31年)1月1日
- ホーム 1面2線
ホームに降りてまず目に飛び込んでくるのが、二条駅に似たホームから線路まで全体を覆うドーム状の大きな上屋だ。ただ形こそ似ているが二条駅の木材を多用した物とは違い、鉄骨の目立つ無骨な造りに若干の簡易さといおうか安く上げました感が漂う。
駅前に出てみると高架化前の地上駅があったのだろうか広々とした駅前広場があり、明るく開放的な中に木々がたくさん植えられていた。高架上を発着する列車もよく見えた。反対側はどんな具合だろうかと行ってみると、駅前がいきなり2車線の道路で背後には住宅が建ち並んでいた。どうやらこちらが駅裏だったらしい。
妙心寺
駅の散策を終えて、まずは近くにある妙心寺に向かってみる。これが本当にすぐ近くで徒歩数分で到着する。
日本最大の禅寺というだけの事はあり、広すぎる程に広い境内には興味を引く建築物があちこちにあり、どこへ行っていいのか迷ってしまう。
とりあえず適当に歩いていると退蔵院・春の特別拝観というのをやっていて、何やら見事な紅しだれ桜があるようなので、これは行ってみなければと500円払って拝観してみる事にした。
山門を入ると趣のある雰囲気だが、何せ通路が狭いので立ち止まるのもままならず方丈(本堂)に進む。ここでは靴を脱いで本堂に上がり、室内からは狩野派の画家が作庭したという「元信の庭」を眺める事ができる。寝っ転がって眺めている人も居て心地よさそう・・・。
続いてメインたる紅しだれ桜に向かうと、桜手前の門の上にナマズが彫られていて何だか面白い意匠だ。桜の方はどうも花の付きが悪いのか、パンフレットの桜程に見事な感じはしなかった。何でも枝が折れるので傘状の支えが付けられたそうで、見た目も以前とは違っているようだ。
売店を過ぎると茶席があり、抹茶と茶菓がちょっと魅力的だが500円が・・・金欠気味のため諦めて先へ進む。行き止まりまでくると、そこが
ここも美しい庭でしばらくぼんやりと眺めてから山門へと引き返した。どこも美しく絵になる所が多いが、それだけに写真を撮っているというより撮らされている感のある庭だ。妙心寺の方は広くて見始めたらきりがなさそうだが、既に14時近くなっているので他はまだ今度にして駅に戻った。
数分で亀岡行きの列車がやってきて次の太秦へと向かう。
太秦
- 所在地 京都市右京区太秦上ノ段町
- 開業 1989年(平成元年)3月11日
- ホーム 2面2線
下車してみると随分と狭いホームにコンパクトな駅舎と思っていたよりも小さな駅だった。駅前に出ると子供の遊ぶ声が聞こえてきて、近くにはゴルフ練習場や住宅街がありと、何だか急にのどかな場所に来てしまったようだ。あまり駅前感がないので開業日を調べたら1989年と新しい駅で納得だ。
仁和寺
駅周辺には特に桜の見所はなさそうなので、少し離れているけど仁和寺まで足を伸ばすことにした。歩くなら先ほどの花園駅の方が近いが、太秦からは嵐電を利用する事で仁和寺の最寄り駅である、御室仁和寺駅に行く事ができる。
まずは近くにある嵐電の駅に向かうと”撮影所前”という駅に出た。記憶にある駅名と異なるのでおかしいと思ったら、この駅はつい7日前に開業したばかりの新駅だった。おかげで以前の最寄り駅である
電車を待っていると外国人に道を尋ねられ、地元じゃないから聞かれてもサッパリ・・・ほんとよく道を尋ねられる。
嵐電は初乗車なので駅の説明を読んでいると、すぐに電車がやってきた。料金は一律210円で降車ボタンを押して下車と、何だか路面電車にでも乗るような感じだ。
しばらく走ると桜並木の中を通り抜ける、有名なポイントらしく車内で案内も流れた。御室仁和寺駅に到着するとドッと下車があり、混雑時期だからか駅には臨時の駅員も居て料金はそちらで支払うという事だった。駅舎から出ると正面にはもう仁和寺の山門が見えていた。
仁和寺の山門を通り抜けて、少し進んだ所で伽藍入山券の売場があり500円で購入。御室桜は五分咲きの看板が出ており少し早かったようだが、ここまで来てまた今度にしますという訳にもいかないので五分咲きでも見ていくしかないだろう。
大勢の観光客でごった返す中を奥へ奥へと進んでいき、五重塔や金堂を見て歩く。桜と組み合わせて撮影をと思っても、人が多いだけに一緒に写り込んでしまい簡単にはいかない。
ひと通り歩いてみたけど言うほど桜はなかったなと、帰りながら山門に向かっていると御室桜と記された碑があった。そこから御室桜のぎっしり植わる区画に進むのだ。往路ではすっかり見落としていた。
御室桜の所へ行ってみると、桜の木に白い大きな花がビッシリと咲いていており、これが一面に植えられていて見事だった。五分咲きでも殆ど満開の木も多少はあって実に美しい。これ全体が満開になったら凄いだろうなあ。
御室桜を堪能し満足して仁和寺を後にする。さてまた太秦駅まで戻る必要があるのだが、嵐電に乗ると再び210円かかるので、何だかもったいなくて歩いて戻る。退蔵院、仁和寺・嵐電で既に1210円も使ってしまったから少し節約しなければ。
単純にJRの駅に行くだけなら花園駅の方が近いのだが、下車だけでなく乗車もして初めて完乗駅とカウントしているため、どうしても太秦駅まで行かなければならないのである。
大体の方向の目星を付けて適当な道路を選んで歩いて行く。幸いにして行程の大半が下り坂だったが、30分ばかり早歩きをして駅に到着すると流石に疲れた・・・列車の時刻を確認するともう来るので急いでホームに向かいギリギリ間に合った。
嵯峨嵐山
- 所在地 京都市右京区嵯峨天竜寺車道町
- 開業 1897年(明治30年)2月15日
- ホーム 2面4線
一息つく間もなく太秦駅から僅か2分程で嵯峨嵐山駅に到着する、観光地だけあり下車客も多い。駅構内は特に印象に残るような物はなかったのか、まったく記憶に残っていない・・・。駅舎の方は橋上駅になっていて、どちら側の出入り口もそっくりなデザインである。
ここには嵯峨野観光鉄道のトロッコ嵯峨駅も併設されているのだが、この時は完全に忘れていた上に建物もまったく目に入らなかった。
渡月橋
さて周囲には色々と観光地があるので、どこへ行くかなのだが、初嵐山なので桜を見がてら有名な渡月橋へと行ってみる事にした。
今日はまだ地元名物的な物を何も食べておらず、かといって嵐電の210円をケチる財政状況ではてどうしたものかと思っていると、中村屋というお店でコロッケが1個100円で販売されていて、こりゃあ丁度いいという訳で1つ購入して立ち食いしていく。昼食も食べていなかった事もあり実に美味かった。
渡月橋に近づくと周囲は観光客と土産物店だらけとなる。土産に八つ橋でも買っていこうかと思ったり、それでは普通すぎるから止めておくかと思ったり、そんなことを考えながら歩いているとすぐに橋の袂に着いてしまった。
渡月橋はサイドから見ると木製の欄干といい、このデザインから凄く古い橋に見えたが、実際渡るとコンクリート造りの普通の橋で、車もじゃんじゃん走っていて拍子抜けとなる。それでも昭和9年竣工だそうなので、それなりに年季は入っているようだ。
渡月橋を渡るとそこが中ノ島公園で、露店が並んでいたが特段営業している感はなく、まだ準備中なのか営業を終えた所なのか・・・。川を眺めて休んでいる人等でまったりとした雰囲気で、自分もぶらぶら歩いて過ごす。ここの枝垂れ桜は満開で花の付きも良く、おまけに日も差してきて、退蔵院の枝垂れ桜より美しく感じだ。
この辺りは見所が沢山あって1日楽しめる場所のようだが、朝から桜の通り抜けのたい焼きと先程のコロッケで4万歩も歩き、流石に疲れたので中ノ島の桜だけで駅に戻った。
17時は回ったがまだ明るいので、次の保津峡に行けなくもないので行こうかどうしようか迷う。しかし今から行っても30分程度しか滞在できなさそうなので、次回の楽しみにして京都に戻る事にした。タイミング良くやってきた快速列車に乗車、この区間で快速列車に乗るのは初めてだ。
エピローグ
2日間かけた区間を僅か12分で京都駅に到着する。これで京都〜嵯峨嵐山間の10.3kmと7駅を完乗した。こうして午前中の桜の通り抜けから始まり、各駅で桜を楽しむという桜づくしの日が終わった。次回3日目は夏頃にでも行こうかと思うのでしばらく山陰本線はお休みだ。
(2016年4月8日)
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