
Xマウント用の中望遠レンズXF90mm F2R LM WR。換算135mmと平凡な焦点距離ではあるが、手持ちのXF35mmと組み合わせるにはちょうど良く、緻密な描写や美しいボケ味の話を耳にして発売以来気になっていた。ただ中望遠レンズはXF56mmを持っている上、その使用頻度も低いので眺めるだけに留めていた。
それが今回キャッシュバックキャンペーンがあって、実質7万円ほどで手に入ることに気が付き、少し迷ったものの買うなら今しかないと思い切って購入してしまった。

開封するとまずは付属品を取り出す。説明書や保証書に黒いクロスなどお馴染みの品々ばかりで特に目新しいものはない。
最後にレンズを手にすると大柄なレンズだけにズシリとくる。まさにガラスの塊といった感じだ。そして金属外装だけにヒンヤリとした手触りがたまらない。触るだけで所有欲を満たしてくれるようなレンズだ。そのいっぽうでフードは手にした瞬間から安っぽさを感じる代物で、レンズ本体の精巧感とは対照的であった。

レンズを手にして最初に気になったのは内部からカタカタ音がすること。ちょっと不安にさせるものがあるけど付属の説明用紙によると、通電されていない時はフォーカスレンズ群がフリーになるため振ると音や振動が生じるとあり仕様のようだ。一安心だけど旅に持ち歩いていて、一日中カタカタさせていて大丈夫なのかと心配な部分もある。
操作感は同じ中望遠レンズで外観も瓜二つのXF56mm F1.2とほとんど同じはず。そのように予想していたが意外と違っていた。まずフォーカスリングが比較的固めで、XF56mmのように回す気がない時までクルクル回ったりしない。かといってXF35mm F1.4のようにカチカチでもない。AF時には持ちやすくMF時には操作しやすいちょうどいい固さだ。
そしてもう一つの操作部である絞りリングは、いつものXFレンズという感覚で回したらその固さに驚いた。手持ちのXFレンズの絞りリングときたら、どれも指1本でも回せるほどに軽いのに、このレンズはしっかりと2本の指で掴んで回す必要のある固さだった。

付属フードは見た目は普通すぎてどうということのない物だ。使ってみるとスムーズに装着できて僅かなガタツキもなくしっかり固定された。XF56mmのフードは固すぎて装着時にプラスチックの削りカスが出るほどだったのとは大違いだ。見た目の造りはそっくりなのに何かが違うようで随分と具合が良い。
レンズ自体が長いからメタルフードを付けっぱなしにすると邪魔だし、フードをどうしようかと思っていたが、このフードは使いやすいし割りと似合うのでこのままで良さそう。またレンズの全長が長いおかげで、フードを逆付したままでも絞りリングを操作できる。

単焦点XFレンズの中ではかなり大柄だが、X-T1に装着してみるとバランスは良くて持ちやすかった。AFもほとんど無音でスッとピントが合いとても快適だ。細かな造りがこれまでのXFレンズに比べて洗練されてきたなあと思う。実際に撮影してみると驚くほどに寄れるので、遠景から小物の撮影までストレスなくこなせて撮影が楽しいレンズだった。
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