RICOH GR III と IIIx で撮影画像の色がちがう？

旅にはカメラを2台持っていく。広角と標準の単焦点レンズを常時付けておくためだ。どちらの画角も欠かせないが、レンズ交換は面倒だしズームレンズは好みでないので、いつしかこのスタイルに落ちついた。

ここで拘っているのがカメラは同じものを用意することだ。これにより画角以外は操作性から画像の色味までを統一できるためとても扱いやすくなる。色は現像時に調整するという手もあるけど、私は撮って出しが基本なのでそうはいかない。

そのような訳でRICOH GRは小さく速写性があり旅には好適だと思いつつ、広角しか使えないことから手にすることはなかったのだが、ここにきて標準レンズのIIIxが登場したことで状況が変わった。広角のIIIと標準のIIIxの2台持ちにすれば理想に近い旅カメラになると、購入を決断するまでに時間はかからなかった。

色が異なる？

IIIとIIIxという組み合わせで使ってみると、撮影のほうは期待通りの使いやすさで満足できたのだが、撮影結果のほうは色に違和感があった。基本的に同じ色ではあるものの、気のせいか色にちがいを感じるのである。

そこで同じ被写体をあれこれ撮り比べてみると、気のせいではなく実際に色がちがうということが分かってきた。下に並べた画像はIIIとIIIxで同じ景色を撮影したのち、同じ構図になるようトリミングなどを施したものだが、IIIxに比べてIIIは薄っすらグリーン被りしたような色をしている。なんとなくIIIxのほうがいい色に仕上がると思っていたけど、本当にIIIxのほうが好みの色をしていたのであった。

掲載画像のイメージコントロールはポジフィルム調だが、スタンダードに変更してもIIIのほうがグリーンになる傾向は変わらなかった。IIIとIIIxの発売年には3年ほどの差があるので、色の味付けを変えたのかと思い、両者の発売後に追加されたネガフィルム調を試してみるが結果は同じだった。レンズのカラーバランスのせいなのかもしれない。

調整してみる

原因はどうあれ画角以外はまったく同じだからと2台を買い揃えただけに、多少とはいえ肝心の色にちがいがあると知ったときはがっかりした。これが他のカメラであれば買い替えるという解決策もあるのだが、GRの代替になるのはGRしかないのでそうはいかない。仕方がないのでGRのままでなんとかしてみることにした。

手っ取り早いのは気にしないことだが気になるので、IIIxのほうが好みの色なのでIIIの画像に手を加えてみることにした。まずはグリーン被りなのだからと、蛍光灯の色被りを補正する感覚で現像ソフトで少しだけマゼンタに補正してみると、あっさりほぼ同じ色になった。とはいえ前述したように私は撮って出しが基本なので、簡単な補正でも毎回やるのは面倒だしスマートではない。

撮影時になんとかならないかカメラの設定をいじっていると、ホワイトバランスの設定に色調整があることに気がつき、これで少しだけマゼンタに振ってみることにした。

マゼンタは1〜14までの14段階にまで補正できるので、効果を試しながら少しずつ効きを強めていくと、軽く3〜4くらい効かせてあげればいいことが分かった。そうして先ほどの画像を再現像したのが下のもので、IIIxとほとんど違和感のない仕上がりとなった。

液晶モニター

問題が解決したことで揚々と撮影しているとまた新たな問題に気がついた。もともとIIIとIIIxの液晶モニターは同じ色に見えていたのだが、IIIのホワイトバランスをマゼンタよりに補正した結果、IIIの液晶モニターがマゼンタ被りしたような色になってしまったのだ。写りにはなんの影響もないのだから、これこそ気にしなければいいのだろうけど、カメラを持ち替えると液晶の色が変わるというのはどうにも気持ち悪い。

なんとかならないかと設定をいじっていると、液晶の色を調整できる機能があるのを見つけた。これを利用してマゼンタを打ち消すようにグリーンを強めてあげることで、狙い通りの色にすることができた。