旅に出るときはGR IIIとGR IIIxを持っていく。これはもちろん広角と標準を使い分けるためなのだが、撮影比率でいえばIIIxが9割余りを占めている。IIIの出番がほとんどないことを考えると、IIIxとワイコンがあれば十分なくらいだ。もっともIIIxのアクセサリーにはテレコンはあれどワイコンは用意されていない。
ところがIIIxにはIII専用のワイコンであるはずのGW-4が使用できるという話を耳にした。もちろん自己責任でという類の話なのだが、これがきちんと30mmのレンズとして撮影できるのみならず、Exifにもしっかり反映されるという。
装着してみる
すでにIIIを所有しているうえ公式には非対応なので、積極的に使う気にはならないし使う必要もない。しかしIIIが故障した場合など緊急時にはこれで広角を代用できるし、そもそも本当に使えるのかや画質はどうなのかも気になる。ちょうどIII用に購入しておいたワイコンが手元にあったので試してみることにした。
まずはIIIxにワイコンを装着してみる。そのままでは取り付けられないので、本来はテレコンやフィルターを装着するために使用する、レンズアダプターGA-2を間に挟む。脱着ともスムーズだし電源を投入しても異常はない。レンズ鏡筒がもっとも飛び出すマクロモードにしても接触するようなこともなかった。
画角が広がったことを除けばなんの変化もないという感じだが、よくみると背面液晶にWIDEの文字が表示されていた。これはIIIにワイコンを装着したときと同じ反応で、どうやらしっかりワイコン装着を認識しているらしい。
試しにシャッターを切ると、聞いていたとおり撮影情報にはレンズの焦点距離である40mmではなく、ワイコン使用時の30mmが記録されていた。背面液晶のWIDE表示といいワイコンには非対応ですという顔をしながら、しっかり対応した設計がなされているのだ。
ここでふとクロップしたらどうなるのかと思いこちらも試してみると、38mmと54mmとして撮影することができた。もっとも40mmのレンズにワイコンをつけて、クロップして38mmにするとか、意味がなさすぎてだからどうしたという話ではある。
撮影してみる
IIIxでワイコンが使えることは確認できたが肝心の画質はどうなのか、画角がほぼ同じIIIと撮り比べてみることにした。比較用の画像はすべて撮って出しで、イメージコントロールはポジフィルム調、周辺光量補正はOFFにしてある。
まずは粗が分かりやすい絞り開放で撮影。画角が28mmと30mmで異なるため構図は微妙にちがうが、画質という点ではブログで使用する程度ではまるで差がみられない。周辺光量の落ち方までそっくりで、画角でしかどちらで撮影したか判別できないほどだ。
差がよく分からないので中央部を200%まで拡大してみると、こんどはIIIのほうがシャープであることが確認できた。もっとも並べて比較すればというレベルの差でしかない。いっぽう周辺部に目を移すとこちらはIIIのほうが明らかにシャープであった。
絞りによる変化も見てみると、どちらもF5.6〜F8辺りがもっとも画質がよく、どちらもF11より絞るとぼやけてくる。F5.6の画像を拡大してみると中央部はどちらも開放とあまり変化がないのだが、周辺部は大きく改善して全体に均質な画質になっている。特にIIIx+ワイコンの変化は顕著で、全体にIIIに遜色のないシャープさとなった。
おわりに
IIIxにワイコンを装着してみた結果としては、自己責任の組み合わせながら、思いのほか高画質でExifにも反映されるなど、十分実用になるという印象である。ブログやSNSで使用する程度なら、IIIで撮影しましたといっても通ってしまいそうなほどだ。
とはいえ私がこの組み合わせで使うことはないだろう。あるとしたらIIIが故障して急きょIIIxで代用しなければならないときくらいのものだ。なぜならワイコンはIIIより重いのだ。IIIがバッテリーとSDカード込みで約256gなのに対して、ワイコンは取り付けに使用するGA-2にキャップなどを含め約272gある。これではすでにIIIを所有していたら、重量的にも画質的にも速写性的にも、IIIxでワイコンを使用する意味がない。
逆にいえばIIIxしか所有しておらず、広角は忘れたころにしか使わないということであれば、約13万円もするIIIではなく、約3万円のワイコンで済ませるというのはありかもしれない。
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