高徳線 全線全駅完乗の旅 2日目(屋島〜讃岐津田)

高徳線の旅 2日目 旅行記&乗車記の地図。

目次

プロローグ

2016年7月21日、早朝の高松駅にやってきた。朝日が差し込みはじめたばかりで山間部であれば冷気が漂っているところだが、早くも汗ばむような熱気を帯びた空気がまとわりつき、風に乗ってくる潮の香りと相まって海が近いことを感じさせる。

朝日を浴びた高松駅舎。
高松駅舎

四国では時間の無駄なく行動するために、昨夜は神戸から高松を結んでいるジャンボフェリーの深夜便に乗り、連絡バスで到着した到着したところだ。しかし5時46分発の始発列車には乗り継げず、早くも列車待ちで時間を無駄にすることになってしまった。フェリーは定刻であれば高松港に5時15分着なので乗り継げるはずが、運悪く遅れが発生してこうなった。

次の列車は6時22分までないので、ゆっくりと余計な荷物をコインロッカーに預け、最小限の荷物だけを手にホームに向かった。

乗車するのは普通列車の引田行きだ。通勤通学にはまだ早いこともあるが、利用者の流れからすると都市から田舎へ逆方向に向かうこともあり単行列車であった。

引田行き 4307D (FUJIFILM X-T1 + XF35mm F1.4R)
引田行き 4307D

車内に入ると空席が目立ち、混雑している印象しかない高徳線にしては珍しい。とはいえいつまた混みはじめるか分からないので、下車に備えて前よりの席に陣取った。

景色を楽しむためにはブラインドを下ろしたくないので、朝日を避けて進行右側に座ろうと思いきや、左側が転換クロスシートで右側がロングシートという、何とも独特な座席配置のため左側に座るしかなかった。

懐かしい景色の流れる車窓 (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
懐かしい景色の流れる車窓

高松を発車するとすぐに左に大きくカーブして予讃線から離れていく。栗林周辺の市街地や農地の広がる木太町など、半年ぶりの懐かしい景色を楽しんでいるとあっという間に最初の下車駅、古高松南に到着した。

古高松南ふるたかまつみなみ

  • 所在地 香川県高松市高松町字津ノ村
  • 開業 昭和61年11月1日
完乗状況の路線図
古高松南駅ホーム (FUJIFILM X-T1 + XF35mm F1.4R)
古高松南駅ホーム

列車を降りるとホームが一面あるだけの小さな駅だった。ホームのすぐ脇を交通量の多い国道11号線が並走しているため騒々しい。その反対側の線路沿いには新興住宅地といった風の宅地が広がっていた。利用者は結構多いとみえて高松行きを待つ人がホーム上にある。

狭いホーム上には列車が去った後にも何人も佇んでいて、どうやら高松行きを待っているようである。券売機があるくらいで特に興味を引くものは何もない駅だ。

平田池

どこへ行くかだが、何といっても気になるのが国道を挟んだ向かい側にある大きな池だ。平田池という名前で、池の向こうには右手に五剣山、左手には屋島がそびえて、なかなかと良い景色になっていた。

平田池と屋島 (FUJIFILM X-T1 + XF16mm F1.4R)
平田池と屋島

そんなに大きな池でもないので、周囲を一周してみようと多い国道を渡ると反時計回りに歩き始める。住宅の脇を通りぬけ緑に囲まれた道路を抜けると、源義経の家臣である佐藤継信の墓に出た。この辺りは源平屋島合戦の古戦場になるようだ。

佐藤継信の墓

すぐ目の前には小さな川が流れており、川伝いに先へと進むと次に現れたのが神櫛王墓で、詳しい事は知らないが近くにあった説明板によると、第十二代景行天皇の王子で讃岐の国造の始祖、神櫛王の墓所という事だった。古代日本の皇族という事だからかこの場所も宮内庁所轄となっていた。

周囲はよく整備されており、特に柵等もないので王墓の方へ行ってみようかと思ったが「みだりに域内に立ち入らぬこと」と書かれているので遠慮しておく。それにしてもこの王墓は耳を塞ぎたくなる程にセミの鳴き声が激しい所だった。

神櫛王墓

池の周囲を一周してみようとここまで歩いてきた訳だが、池自体をまったく目にする事ができないままに住宅地の中へと入り込んでしまった。途中にコンビニがあったので飲み物を購入して喉を潤しつつさらに歩きまわるものの、結局行けには近づけないままに池を一周して駅まで戻ってきてしまった。

目の前にあるのに近づけない池だ…。

ならばと地図を見ると、池の畔には細い道路が描かれており、一体どこから入るのかと駅前を観察すると、何やら国道の歩道から池のほうへと向かう細い路地が…。あれもしかしてコレですかと奥へと進んでみたら大正解。ここにきてやっとで池の畔に出る事ができた。

平田池沿いの通路

奥には先程の王墓や五剣山があり、通路脇にある祠には天保十三の文字が読み取れるお地蔵様が鎮座していた。何だか色々と歴史のある場所である。

平田池のお地蔵様

池を眺めていると奥から日傘を刺した若い女性が現れ、さらにその後も自転車に乗った高校生までやってきたりと、どうやらここは普通に生活道路になっている模様。これはきっと奥の住宅街から駅への近道になっているんだろうなあ。

こうなると一体向こう側はどこへ通じているのか気になり、終点まで歩いて行ってみる。細々とした通路を自転車に乗った高校生とすれ違いつつ出た場所は、何のことはない、さっき王墓の後で通った住宅街の道路であった。これは気がつかないわ…。

平田池の通路

そうこうしている内に気がつけば次の列車まで10分程になっており、急いで駅へと戻る。もう駅には高校生が沢山おり、結局駅設備をじっくり撮影はできないままに終わってしまった。

券売機で隣の八栗口までの乗車券を購入して、やってきた引田行きの313Dに乗り込む。古高松南を出るとこれといった車窓の変化もない内にあっという間に八栗口へと到着した。

引田行き313D

八栗口やくりぐち

  • 所在地 香川県高松市牟礼町牟礼字仲代
  • 開業 昭和36年9月1日
完乗状況の路線図

到着すると大勢の高校生と一緒に下車、近くに高校があるようで意外な利用者数の多さである。さらに列車の行き違いもあり乗車してきた列車が全然出発しないので、しばらく周囲をぶらついて列車が出てから駅に戻って撮影する。

八栗口駅ホーム
八栗口駅ホーム

この駅も先ほどの古高松南と同じく駅舎はなくホームがあるだけの駅で、背後には屋島を望む事ができる。誰によるものかホームにはひまわりの花が生けてあるが、すっかり枯れてしまって…。

八栗口駅ホームのひまわり

ここではあまり近くもないけど、八栗ケーブルを利用して八栗寺まで行ってみようと思う。路線バスはないので歩くしかないが、地図を見て最短コースを行こうと思っても何だか道順が入り組んでいてわかりにくい…。

まあ普通は歩くにしても先程の古高松南駅や、琴電の八栗駅から行くのが普通で、この駅から行こうなんて人はまず居なさそう。自分の場合は何となく八栗寺へ八栗口から行く方が名前的にしっくり来るという、わりとどうでもいい理由でここから行く事にしたのである。

何だかんだで10分ばかり駅やその周辺をウロウロしてから出発。駅前の信号で国道を横断して、八栗ケーブルの方向へ地図上の近そうな道から進んでいく。しかしこれがアップダウンあり、右に左にウネウネしておりと暑い中疲れる道路であった。まあ交通量が少なくて静かなのでそういう点では国道伝いに行くより良かったかな。

途中”栗麓小学校跡”という石碑が建っていたが、この小学校検索しても1件もヒットせず詳細は不明である。そもそも何と読むのかすらわからない。

八栗ケーブルへ向かう道路

八栗ケーブルに到着するまでは特に何もないかと思ったが、途中で御山公園なる公園が現れた。この機会を逃したら多分もう二度と来ることもなさそうだし、せっかくなので寄り道してみる。ちょっとした小高い山の上にある公園で、多分これが御山という山なのだろうな。

公園だけありセミの鳴き声が騒々しい中を見て回ると、野外炊事施設やテニスコート、さらには大きな駐車場まである、よく整備された公園だった。何だか賑やかな声が聞こえてくると思えば、下の方にある大きな広場ではゲートボールの真っ最中であった。

御山公園

ここは丁度いいベンチもあるので一休みしていたい所だが、あまりゆっくりしていると後のスケジュールが怪しくなってくるので早々と立ち去る。続いて松井池なる水草で覆われた池が現れ、ここも背後には屋島がキレイに見えてなかなかと絵になる池だ。

松井池

近くには松井神社や、石の民俗資料館なる施設もあったが、あまりゆっくりもしてられないと足早に八栗ケーブルへと向かう。

八栗ケーブル

結局八栗口駅から50分程かけて、八栗ケーブルの麓側の駅である八栗登山口駅に到着した。乗り場には緑色の車体のケーブルカーが止まっており、このレトロなデザインがたまらなく良い。1964年から使用しているそうなので、もう50年以上前の車体という訳だ。

八栗登山口駅に停車するケーブルカー

まずは駅舎に入り往復チケットを購入して930円支払う。このチケットは復路で回収されて手元に何も残らなかったのは残念な所。

すぐに改札が始まりケーブルカーの傾斜に合わせた斜めのホームに入場する、自分の他に乗客は1人だけというがら空き状態だった。さっきからカメラを持ってウロウロしているからか、職員の方から、まだ時間があるので、ゆっくり撮影していてくださいと声をかけられたので、遠慮無くあちこち撮影して回っていたら時間となる。

 

そして乗車すると内部もなかなかにレトロな造りになっており、当然ながら冷房はなく空調は全開の窓&扇風機となっている、この窓が前面まで開くのがまた良い。そして先ほどの職員の方に最前列の席を勧められるままに着席。途中赤い車体の2号車もよく見えてまさに特等席である。

八栗ケーブルの交換シーン

ものの数分で八栗山上駅に到着した。ここも職員の姿が2,3人見える以外はまったく人気がなく、ひっそりと静まり返っている。まだ朝が早いからか平日だからなのか…。

八栗山上駅の駅舎

駅前はあじさいが満開で美しく、時折涼しい風が通り抜けていく心地よい雰囲気の場所だった。

八栗山上駅前のあじさい

八栗寺

さて随分と時間をかけてきたが、ここからいよいよ本来の目的地である八栗寺へと向かう。

八栗寺の鳥居

こちらも殆ど人気はなく数人のお遍路さんを見かけた程度でのんびりとした物である。これから始めるのかそもそも営業していないのか、閉まっている商店や宿があちこちにあり何だろうこの寂れた雰囲気は…。

八栗寺の本堂

15分ばかりかけて本堂まで辿り着き、参拝を終えた後はさらに奥へと行ってみる。奥といってもこちらが本来の正門なのだろうが、ここには1軒だけ営業しているお店がありアイス等を販売していた。そしてその先からは屋島方面を見渡すことができて眺望は素晴らしい。

八栗寺からの眺望

後は来た道を引き返して八栗山上駅まで戻る。帰りは赤い車体の方で、うまい具合に両方の車両に乗車する事ができた。今度の乗客は自分1人で完全に貸し切りである。

八栗山上駅の2号車

今度は先程とは逆に車両の後方に座り、ゆっくりと車内を観察したり車窓を楽しみつつ戻った。

八栗ケーブルの車内

すっかりリフレッシュして戻ってきたが、ここから八栗口駅までがまた遠いんだよなぁ…。今度はあのアップダウンのある道路を回避すべく一気に下山して平野部に出た所で八栗口駅方向へ歩くルートにしてみた。

途中スーパーがあったので飲料を購入したりとまた寄り道はしていたが、40分程で駅に到着、10分程待つと徳島行きの4323Dがやってきて丁度良いタイミングだった。流石にこの時間帯のこの駅では乗車するのは自分だけだった。

徳島行き 4323D

讃岐牟礼さぬきむれ

  • 所在地 香川県高松市牟礼町大町字鐙田
  • 開業 昭和61年11月1日
完乗状況の路線図

続いてやってきた讃岐牟礼は、カーブ上にある駅で車体を斜めに傾げた状態で停車する。この駅もまた駅舎のないホームのみの小さな駅だ。

讃岐牟礼駅ホーム

琴電

高松からここまで内陸部を走ってきた高徳線だが、いよいよ海が目前となったので海まで行ってみる事にする。目の前には琴電の八栗新道駅があり、折角なので琴電を利用してみる事にする。

駅に到着すると既におばちゃんが1人列車を待っており、何だかすぐにでも電車がやってきそうな雰囲気なので、取り急ぎ近くにあった券売機で海が近そうな房前までの乗車券を購入する。すると何だか頼りないペラペラの乗車券が出てきた。

何にせよこれで準備万端と思いきや、やってきたのは高松方面への列車で拍子抜け。さらに待ってから琴電志度行きに乗り込んだ。

八栗新道駅に入線する電車

民家の庭木をかすめるように進み、いかにも地方私鉄な雰囲気がいいなあ。房前駅で下車すると、かつては列車の交換設備があったらしく下車したホームの向かい側には、使われなくなった古いホームがあるのが目に留まる、こういう雰囲気好きだなあ。

房前駅の旧ホーム

道の駅源平の里むれ

直ぐ目の前が海なので、その辺をぶらりと歩くが、踏切脇に”道の駅源平の里むれ”まで徒歩3分の標識があり、もう昼も近いので昼飯がてら行ってみる事にする。

踏切脇の道の駅への案内板

標識にあったとおり、すぐに道の駅に到着。しかしそこにある建物はどうみてもトイレ…。そしてトイレの建物を通り抜けた後ろにメインの建物があった、なにゆえトイレを手前に置いたのか。

道の駅源平の里むれ

中を見て回るが土産物の販売がメインなので、徒歩旅でしかも先が長い自分には用は無く早々と退散する。道の駅の後ろには芝生が広がる広場があり、ここが房前公園のようだ。

房前公園

この公園には琴電の古い車両が展示保存されていた。

道の駅源平の里むれの保存車両

屋根付きでしっかり保存されていて車内にも入る事ができる。運転席は親子連れのいい遊び場となっていた。

展示車両の車内

謎のオブジェが点在する芝生の広場を抜けて、琴電の線路越しに海を眺めてから昼食にすべく再び道の駅の建物に戻る。ここの食事処はビュッフェスタイルになっていて、好きな料理を取って最後に精算の流れになっていた。このビュッフェスタイルは混雑してると戻る訳にもいかず、先に何があるかわからないままに選んでいく必要があったりして、あまり好きではなかったりする。

ふと見るとハマチの漬け丼が500円とあり、これは別に注文するようで食べてみる事にする。しかしそれだけでは少ないかもしれないから鯖の何かと味噌汁も一緒に注文。

昼食のハマチの漬け丼+α

味はバッチリで、これで1000円でお釣りが来るのだから満足の昼飯となった。しかしハマチの漬け丼が来る前に、調子に乗って水をがぶ飲みしていたおかげで満腹なんてレベルではない。

羽間下池

帰りはそれほど遠くもないので歩いて讃岐牟礼駅まで戻るが、いよいよ暑さが厳しくなってきて汗が噴き出してくる。駅に到着するともう何人か列車を待っており、中にはホームに座り込んでいる人まで居るが暑そう。

時計を見るとまだまだ時間があるので近くの高台にある、羽間下池という池まで行ってみる事にする。サクッと行って帰ってこようと思ったのだが、これが予想を超える急坂の先にあり、若干後悔しつつも池まで辿り着いた。

羽間下池

住宅地の中を抜けてきたから、今朝の平田池のような雰囲気の池だろうと予想していたのだが、意外にも全体を緑に囲まれた中々に美しい池だった。近くにはお地蔵様もあり羽間地蔵さんと彫られている。

ゆっくりしていたい所だが、列車の時刻まで15分を切っており大急ぎで引き返す。何せこの列車を逃すと次は1時間後だから逃すわけにはいかない。小走りに坂を下っていく途中でふと遠くを見ると、ここからも海がよく見えた。すっかり汗だくになってしまったが列車には無事に間に合った。

引田行き 4331D

志度しど

  • 所在地 香川県さぬき市志度字御所
  • 開業 大正14年8月1日
完乗状況の路線図

久しぶりに駅舎のある駅で、しかも有人駅でもある志度に到着、流石にここは下車客も多い。

志度駅 駅舎

駅舎は橋上駅舎になっており今にして思えば反対側にも出られたと思うのだが、暑さに加えて朝から歩きっぱなし&走りっぱなしで疲れが出始めており、そんな考えが思い浮かばなかった。

志渡寺

志度で有名所といえばやはり志渡寺かなあという事で、志度寺方面へ向かって歩いて行く。途中平賀源内記念館なんかもあったが、まあそれはまた今度にしよう。

志度駅から10分程で巨大な”わらじ”が特徴的な志渡寺の仁王門に到着する。

志渡寺 仁王門

ここも先ほどの八栗寺と同じく数人のお遍路さんの姿がある程度でひっそりとしていた。参拝を済ませて一通り見て回った所で駅へと戻る。

志渡寺 本堂

帰りは車を避けて仁王門前の通りを歩くが、ここは車どころか歩行者すら1人も居ない状態でひっそりとしている。これはこの後に尋ねた高徳線沿線の街はどこも同じような状況で歩行者は殆ど居なかった。

志渡寺の門前通り

再び10分ばかり歩いて駅に到着するとタイミングよく徳島行きの普通列車がやってきた。

徳島行き4333D

オレンジタウン

  • 所在地 香川県さぬき市志度字鳥打谷
  • 開業 平成10年3月14日
完乗状況の路線図

続いてやってきたのは、平成10年開業という新しいオレンジタウン駅だ。その名の通り周囲にはオレンジタウンという名前の分譲地が広がる。駅は島式ホームが1面で、少し高台にユニークな形の駅舎が設置されていた。

オレンジタウン駅の駅舎

駅を作って特急を止めてとJRも力が入っていると思えばJR四国グループの会社が分譲しているのであった。

まずは山側にある駅舎の側へ出てみるが、分譲地だけあって特に面白みはなく近くの自販機で飲み物を購入した程度で戻ってくる。とにかく暑くてひと駅ごとに何かしら飲み物を買っているような日だ。

オレンジタウン駅ホーム

長行池ながゆきいけ

どこへ行こうか悩む所だが分譲地とは反対側に池があるので、そこまで行ってみる事にして反対側へと通じる階段を降りていく。此方側には駅舎も何もなくホームへ向かう階段があるだけの構造になっていて、駅の周囲には一応分譲地なのか単なる荒れ地なのかわからないが、草で覆われた広い空間が広がっていた。

しばらく歩くと昔からの民家が数件あり、元々はこんな感じで数軒の家が立ち並ぶ程度の場所だったのだろう。駅から池までは本当に近くて5分ほど歩いたら到着してしまった。釣り人によるものなのか、歩道から池の畔まで降りる踏み跡があるので降りてみる。対岸には高徳線を挟んで高台にあるオレンジタウンがよく見える。

長行池

そしてこれ以上は特に行く所も、興味を引くような物も見当たらないので駅へと引き返す事にした。近くの山腹には山形で見たぶどう畑のようなビニールハウスが並んでいて、やっぱりこれはぶどうなのかな?

駅に戻って数分もすると引田行きの普通列車がやってきて、なかなかと良いタイミングだった。

引田行き 4335D

造田ぞうだ

  • 所在地 香川県さぬき市造田野間田
  • 開業 大正15年3月21日
完乗状況の路線図

オレンジタウンから山間を抜けて田んぼの広がる平野部に出ると造田だ。ほんの数年前まで有人駅だったそうで、しっかりした木造駅舎が残っている。

駅前の小さな庭にはソテツの木の良く手入れされた植木が並んでいて、青空をバックに白い駅舎と植木の緑がマッチして実に良い雰囲気を出している。駅舎の雰囲気としては、ここまでの高徳線の中では一番好みかもしれない。

造田駅 駅舎

造田八幡宮

しかし駅舎は良いものの、周囲には見所的な所が何も見当たらないのが困りもの。とりあえず地図を見ると徒歩圏内に造田八幡宮があるので、まずはここに向かってみる事にする。

駅の側線にはバラスト散布用だろうか、黄色い事業用の車両が止まっており、その脇を通り、プールから賑やかな声の聞こえる小学校を過ぎると清水川という小さな川に出た。その先2,3分も歩くともう少し大きな川が流れており、ここにはホタルの里がどうこうという看板が出ており、川沿いには歩道が整備されて水辺まで手軽に歩いていけるようになっていた。

造田を流れる鴨部川

駅から15分程度で造田八幡宮に到着。それなりに参拝者の居る神社なのだろうか、鳥居の近くには駐車場も整備されている。

造田八幡宮

鳥居をくぐると鬱蒼とした木々に囲まれた年季の入った石段が現れ、寂れた小さな神社かなぁと石段を上がっていくと…。これが意外にも大きな本殿が目に入り、思ったよりずっと規模の大きな神社だった。とはいえ参拝者は自分だけで、他にはまったく人気は感じられずセミの鳴き声が聞こえるばかりだった。

造田八幡宮の本殿

参拝を終えて再び暑い中を駅へ向かってトボトボ歩いていたのだが、ふと次の列車の時刻と現在の時刻を確認すると…。あと10分程であり正直疲れて動きたくないレベルだが、急げば間に合うかもしれないと時折走りつつ急いで駅へ戻ると何とか間に合った。しかし疲れた…。

三本松行き 4337D

神前かんざき

  • 所在地 香川県さぬき市寒川町神前
  • 開業 昭和27年1月27日
完乗状況の路線図

造田を出ると田園地帯を走りぬけ、休むまもなく神前に到着。ここはホームが一面の小さな駅だが、小さいながらも以前は簡易委託駅だったらしく、しっかりとした駅舎がある。そして駅舎にも駅前にも自販機が並ぶ自販機だらけの駅でもある。

神前駅 駅舎

神前神社

駅前には神前パワースポットなる神前地区にある神社、10社を紹介した案内板が設置されており、これを見ると駅のすぐ裏手に神前神社という、神前という地名の由来となった神社があるようだ。

近いので早速行ってみると、歴史は古いのだろうが住宅に囲まれた中にポツンとある小さな神社だった。ちなみにこの神社は”かんざき”ではなく”こうざき”と読むそうで、日本語は難しい。

神前神社

野間池

周囲には神社は沢山あるけど、神社ばかり回っているのも面白みに欠けるかなあと思い地図を見ると、駅の北側にこの辺りではトップクラスに大きい野間池という大きな池を発見。一体どんな池なのか見てみようという訳で行き先決定。

あまりに暑いので途中にある小さな商店の自販機で缶ジュースを購入しバッグに入れて向かう。いつもならペットボトルの方を買うのに何を思ったか缶ジュースにしたものだから、飲みだしたらもうバッグに入れる事も一気に飲んでしまうしかなくなり若干後悔。やはり持ち歩くにはペットボトルでないとダメで、この後はひたすらペットボトル飲料を買ったのは言うまでもない。

途中で緑に囲まれた比較的大きな川を渡ると、丁度シロサギとクロサギが2羽で飛んで行く姿が見えた。

神前の川

川を越えると再び遮るものが何もない田んぼのなかの道路が続き、この暑さの中で本当にもう参ってしまうね。晴れているのは良いが、晴れ過ぎもまた考えもので、たまに通る車をヒッチハイクしたくなる位だ。

野間池へ向かう途中の田んぼ

ようやく山の麓にある小さな集落に辿り着き、木立に覆われた山道へと入っていく。しばらく進むと石碑が3つばかり並んでいる所に出て、どうやらここが野間池のようだ。まあ特に何てことのない大きな池で、大きいだけが取り柄といった印象である。

最もその大きい事が重要なんだろうけど、見に来る程の所ではないかな。これが朝の元気な内であったら対岸まで歩いて行ってみようと思う所だが、すっかりクタクタな今は少しの間突っ立って眺めると、さっさと駅へと引き返すのであった。

野間池

野間池から神前駅までは自販機の類は何も見当たらず、駅に着いた時にはすっかり喉がカラカラになっていた。小さな駅にしては珍しくアイスの自販機まで設置されていたので、久しぶりに購入してみる事にする。何故だか自販機のアイスというのは恐ろしく固かったりするが…。やはり案の定にかなりの固さであった。しかしまあ何より冷たくて生き返る。そういえば自販機でアイスを買うというのは昨年の門司港以来かな。

今回は列車のタイミングがイマイチで、20分ばかり待って乗車する。また夕方が近くなってきたからか車内にも駅にも高校生が増えてきた。

引田行き 345D

神前を出ると津田川沿いを走る。川を渡る事はあっても川沿いを走るというのは、高徳線では始めてのパターンかな。

讃岐津田さぬきつだ

  • 所在地 香川県さぬき市津田町津田
  • 開業 大正15年3月21日
完乗状況の路線図

この駅も数年前までは有人駅であり今でも特急停車駅である事から、それなりに利用者の多い駅である事がわかる。駅舎を見ると屋根の上に小さな瓦屋根の乗っかった何とも不思議なデザインになっている。

讃岐津田駅 駅舎

津田の松原

この駅は何といっても津田の松原の最寄り駅であり、駅からもすぐ近くなので向かってみる。駅近くを通る交通量が多くて騒々しい国道を10分ばかり歩けばもう到着だ。

tsudanomatsubara

まずは松林を抜けて津田の松原海水浴場へと向かってみる。ここは香川県でも最多の遊泳客を集める海水浴場だそうだが、時間が遅いからか時期が早いからか砂浜には10人程度の人がパラパラと居る程度で広々としている。

波打ち際まで行ってみると、砂粒が大きいのか白砂というより砂利っぽさを感じる砂浜でもある。それはそうと何やらゴミが沢山漂っているのだが…。

津田の松原海水浴場

周囲には海の家的な店は沢山あるが、どこも片付けの真っ最中のようだ。松林の中を歩いていると津田八幡宮があったので参拝しておく。

津田八幡宮

ここは同じ松原という事もあるが、砂浜の感じといい全体的に福井県の敦賀にある、気比の松原と同じ雰囲気の場所だった。 折角晴れている事だし、夕焼けに染まる海でも見ようかとも思ったが、すっかり足が棒になってしまいさっさとホテルに帰る事にする。

津田の松原の大きな松

駅に戻るとうまい具合に10分程で高松行きがやってきた。何気にこの列車は土曜・休日運休の列車でもし明日だったら、さらに40分程待ちぼうけになる所で危なかった。

高松行き358D

エピローグ

完乗状況の路線図

讃岐津田から乗り込んだ高松行きの列車は1両編成で混雑しており、旅の締めくくりに今日利用した駅でも眺めつつのんびりと帰ろうかと思ったが、とてもそういう状況ではなかった。

さらに混雑している上に西日が差し込むのでブラインドはガッツリと下げられており、景色も見えないような有様のままで、まだ明るい高松駅へと戻ってきた。何ともパッとしない1日の締めくくりとなったが、これで高徳線の高松〜讃岐津田間の完乗が完了した。

高松駅に到着した358D

(2016/07/21)

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